2024.02.14
歯がしみる際に考えられる原因と効果的な対処法~歯周病の可能性~
歯がしみる際に考えられる4つの原因
食事中や歯磨き(ブラッシング)の際に歯がしみる……。こんな症状はありませんか? 歯がしみる原因としては、「虫歯」や「知覚過敏」が考えられます。そして、もっと深刻な場合は「歯周病」が進行している恐れも……。冷たいものや熱いものを食べたときなど、突然歯がしみる症状と原因を知ることで、症状が悪化する前に対処できるようになりましょう。
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冷たいもので歯がしみると知覚過敏かも
歯がしみる瞬間は人それぞれですが、日常生活でもっとも感じやすいのは食事中ではないでしょうか? その他、食後の歯磨きやうがいの際にも、冷たい水に触れることで歯がしみる場合があります。虫歯の治療をしていないのに歯がしみる場合は、知覚過敏が原因の可能性があります。
知覚過敏とは力を入れ過ぎる歯磨きや歯ぎしりなど日頃の習慣によって生じるもので、歯の表面を覆うエナメル質が削られることにより、内部の象牙質がむき出しとなって刺激を感じるものです。知覚過敏になると冷たいものを食べたときや、空気が当たることによって歯がしみるようになります。
熱いものでも歯がしみるなら根尖病巣や虫歯の可能性も
冷たいものだけではなく、熱いものを口に含んだときにも歯がしみる場合は、虫歯が原因であると考えられます。歯の神経が生きている生活歯(せいかつし)の状態で、虫歯が歯の神経まで達すると熱いものにも刺激を受けるようになってしまうのです。
神経に到達するまで虫歯を放置していると、根尖病巣など複雑な治療をしなければなりません。虫歯は虫歯菌(ミュータンス菌)が歯に付着した「歯垢(プラーク)」によって増殖し、歯の表面を溶かすことで発症します。熱いもので歯がしみる以外にも、普段から痛みを感じる場合は、虫歯の進行を疑ってみましょう。早めに歯科医師に相談することで、症状の進行を抑えられます。
ただし、冷たいものや熱いもので歯がしみる場合でも、必ず知覚過敏や根尖病巣、虫歯になっているとは限りません。あくまでも症状を探るうえでの目安とお考えください。
歯茎の腫れや痛みが伴うなら歯周病の可能性がある
知覚過敏や虫歯、根尖病巣でないにも関わらず、歯の腫れや出血を伴う場合は歯周病が進行している可能性があります。歯周病も虫歯と同じく、歯に付着した歯垢が原因で発症する病気です。歯周病が発生するメカニズムは次のような流れです。
・歯垢にはさまざまな細菌が潜んでおり、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に潜伏して毒素を出します。
・細菌が出す毒素によって歯茎の炎症を引き起こします。
・その際に歯を支える「歯槽骨」や、その間にある「歯根膜」を溶かしてしまいます。
・すると、歯茎が痩せて下がることで歯が長くなったように見えます。
・歯茎が痩せてくると歯の神経に近い歯の根(歯根)が露出した状態になります。
歯周病の進行によって歯肉が下がり歯根が露出することで、食べ物などの刺激を受けてしみるようになるのです。
歯周病は自覚しにくい病気であり、気がついたときにはかなり進行していることも少なくないため、「沈黙の病気(サイレント・ディジーズ)」とも呼ばれています。歯周病の主な自覚症状として以下の5つがあります。
1.食事や歯磨きの際に歯茎から出血がある
2.口臭がきつくなったと感じる
3.歯茎から血や膿が出る
4.歯が長くなったように感じる
5.歯を指で押すとグラグラする
日本人が歯を失う原因のTOPは歯周病です。歯周病の進行を放置して重症化させると、自分の歯を残すことが難しくなってしまいます。歯がグラつくなどの自覚症状が現れた場合は、歯周病がかなり進行している可能性があるため、一度歯科医院で診療してもらいましょう。歯にこびりついた歯垢や歯石を取り除く「スケーリング」や歯垢を取り除く「デブライドメント」などの治療を行います。
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歯周病が原因で歯がしみる際の対処法
歯周病だと感じた場合は、なるべく早い段階で進行を防ぐことが大切です。そのためには、日頃から丁寧な歯磨きを心がけましょう。歯垢の除去は基本中の基本です。歯磨き後は殺菌作用のあるうがい薬を使うのも、口腔内環境を整えられるため効果的です。
また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシによる歯磨きだけで取り除くことが難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシに代表される補助清掃用具や歯間清掃用具を併用することで、より適切に歯垢を除去できます。
歯周病菌は治療によって除去することができますが、自身で行う歯磨きによってきちんと歯垢を除去できていなければ歯周病は必ず再発します。歯科医院で指導を受けるなど、日頃から正しい歯磨き法を身に着けておくことで再発のリスクを抑えられます。
歯周病の予防には日頃の心がけが大切
歯周病は一般的に40代を境に発症しやすくなります。もろくなったり虫歯になりやすくなったりと、口腔内の状態も年齢とともに変化していくため、普段から意識して気づかうようにしましょう。歯茎が痩せたことで歯がしみたり、歯茎から血が出る頻度が増えたりするなど、歯周病の自覚症状が現れた場合には速やかに歯科医師に相談してください。定期的にかかりつけの歯科医院で口腔内検査(オーラルチェック)を受けるといいでしょう。自身の口腔内の状態に合わせた歯磨きの方法なども学べます。普段の生活の中で少しでも口の中に違和感を覚えたら、プロに相談することが効果的な対処法になります。
監修者情報
公開日:2019年10月19日
更新日:2024年2月14日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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