2024.01.22
歯周病(歯槽膿漏)対策に効果的な歯磨き粉の選び方
歯周病(歯槽膿漏)対策に効果的な歯磨き粉の選び方
市販の歯磨き粉は、歯質を強くする成分(フッ素)が入ったものや、知覚過敏を抑制する薬効成分が入ったものなど様々な商品が販売されています。基本的に、歯磨き粉はご自身の好みに合ったものを選んでいただいて構いません。
ただし、どんなに高価な歯磨き粉を使っても、歯磨き粉の効果で歯槽膿漏を予防することはできません。歯磨きの目的はプラークを落とすことですが、プラークを落とす道具は歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシです。歯磨き粉は、あくまでも補助的な役割しか果たさないということは認識しておきましょう。
一般的に歯磨き粉を選ぶときのチェックポイントとしては、「フッ素濃度」と「研磨剤」の2点が挙げられます。特にフッ素濃度は重要で、高濃度のフッ素を含有した歯磨き粉は、むし歯予防をはじめ、清掃効率のアップや歯への着色除去の役割を果たしてくれます。歯磨き粉を選ぶ際は第一にフッ素含有量をチェックし、なるべく1450ppmに近い含有量の商品を選びましょう。また、歯磨き粉はブラシの端から端までしっかり乗せます。そうしないと、せっかく高濃度のフッ素を含有した歯磨き粉でも、その効果が半減してしまいます。
・フッ素濃度の高い歯磨き粉を選ぶ
フッ素にはむし歯の原因菌の働きを弱め、歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進し、歯質を強化してむし歯になりにくくする働きがあります。歯科医院では主に子どものむし歯予防のためにフッ素塗布をおこないますが、大人がむし歯予防をするうえでもフッ素は効果的です。歯磨き粉はフッ素濃度の高い商品を選ぶようにしましょう。市販の歯磨き粉におけるフッ素の最高濃度は「1450ppm」なので、ぜひこの数字は覚えておいてください。
・低研磨性の歯磨き粉を選ぶ
歯の着色汚れを落とすために研磨剤を配合している歯磨き粉もあります。ですが、研磨剤が配合された歯磨き粉を使っていると、健全なエナメル質に傷が付いてしまいます。エナメル質に細かい傷が付くと、そこに細菌が入り込んでむし歯になりやすくなってしまうので、あまりおすすめできません。
研磨剤として使われる成分には様々な種類があります。「無水ケイ素」「含水ケイ素」「炭酸カルシウム」「水酸化アルミニウム」「リン酸水素カルシウム」などはすべて研磨剤なので、ご自宅の歯磨き粉の成分表をチェックしてみるといいでしょう。また、「清掃剤」という表記がされていることもありますが、これも研磨剤のことです。
おすすめの歯磨き粉3選
フッ素濃度が高く、無研磨(低研磨)の歯磨き粉を3つご紹介します。
■Check-Up standard チェックアップ スタンダード/ライオン歯科材
【メーカーより】
フッ素滞留性を高めた独自の新処方。フッ素が口腔内のすみずみまで広がりやすいソフトペーストで歯や歯肉にやさしい低研磨性。また、泡立ちが少なく、やさしい香味なので、少量の水ですすげます。
【フッ素濃度】
1450ppm
■シュミテクト トゥルーホワイト/グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン
【メーカーより】
シミるのが気になる部分にもやさしい、歯の研磨剤無配合。ステイン(着色汚れ)を浮かせて取り除き、ホワイトニングできます。もちろん、フッ素(フッ化ナトリウム)配合でムシ歯も予防します。
【フッ素濃度】
1450ppm
■Systema SP-T ジェルシステマ エスピーティー ジェル/ライオン歯科材
【メーカーより】
3つの薬用成分が歯周病の発症を防ぎ、弱った部位をやさしくじっくりみがける無研磨ジェルタイプのハミガキです。
【フッ素濃度】
1450ppm
■バトラー エフペーストα/サンスター
【メーカーより】
「大人むし歯」になる前に!最大濃度のフッ素で歯の表面をバリア。低研磨性なので長時間しっかり磨ける設計。エナメル質に比べて柔らかい歯の根元(象牙質)が露出している方にもおすすめです。
【フッ素濃度】
1450ppm
■デントヘルス薬用ハミガキ 無研磨ゲル/ライオン
【メーカーより】
研磨剤無配合で、露出したデリケートな歯の根もともやさしくみがける。薬用成分【IPMP・TXA】をライオン史上最大濃度配合のプレミアム処方。歯槽膿漏、歯ぐきの出血、口臭をトータルケアする薬用ハミガキ。
【フッ素濃度】
1450ppm
まとめ
歯槽膿漏(歯周病)は、歯茎に軽い炎症が起きている「歯肉炎」の段階と、炎症が歯周組織にまで進行した「歯周炎(軽度・中度・重度)」の段階に分けられます。歯茎に炎症を起こす歯肉炎から始まり、歯周炎に進行すると歯茎が腫れたり、膿が出たりするようになります。さらに重症化すれば歯を支える歯槽骨が溶かされ、やがて歯は抜けてしまいます。
歯槽膿漏は、歯肉炎や軽度歯周炎の段階であれば、毎日の正しい歯磨きによって治癒させることができますが、中度歯周炎にまで進行してしまうと歯磨きだけで治すことはできません。「歯茎がしみる」「歯茎から血が出ている」といった症状でお悩みの方は、お早めに歯科医院を受診しましょう。
【関連記事】:歯茎が下がる4つの原因と元に戻すための治療法
監修者情報
公開日:2021年4月7日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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