2024.01.22
気になるその口臭、原因は歯周病?
オーラルケアグッズメーカーのライオンや菓子メーカーのグリコなどが行った調査によれば、自分もしくは他人の口臭を気にしている人の割合は全体の約8割にのぼることが分かっています。最近では「スメハラ(スメルハラスメント)」という言葉も定着しはじめており、臭いに対して敏感になっている方が増えていることがうかがえます。
こちらのページでもご紹介していますが、「口臭」は歯周病の代表的な症状です。しかし、歯周病は口臭の原因のひとつに過ぎません。東京国際クリニック/歯科がお届けする今回のコラムでは、口臭の様々な原因について見ていきたいと思います。
病的口臭と生理的口臭とそれ以外の口臭
口臭の原因にはいくつか種類がありますが、その大部分は「病的口臭」です。病的口臭の場合、90%以上はお口の中にその原因があるため、治療をすることで口臭を解消することができます。病的口臭以外の口臭としては、「生理的口臭」や「飲食物・嗜好品による口臭」、そして「心理的口臭」などがあります。
※基本的な口臭発生のメカニズムについては「歯周病由来の口臭とメチルメルカプタンの有害性」のコラムで詳しく触れていますのでご参照ください。
病的口臭
病的口臭はその名の通り、病気の症状として発生する口臭のこと。原因となっている病気を治療することで口臭も改善されます。
病的口臭の場合、90%以上はお口の中にその原因があります。なかでも歯周病の場合は、その進行を許すと歯茎から膿が出て、独特な嫌なニオイが発生します。原因が歯周病であるならば、歯周病治療をすることで口臭を解消することができます。私たち東京国際クリニック/歯科の患者さんでも、「歯周病治療によって口臭の悩みがなくなった」という方がたくさんいます。その他、重度の虫歯や詰め物の劣化、プラーク(歯垢)、舌上の汚れ(舌苔)など口腔内の原因によって起こる口臭と、呼吸器系や消化器系の病気、肝臓疾患、糖尿病など口腔外(身体の病気)の原因によって起こる病的口臭があります。
生理的口臭
健常者(歯周病や内臓疾患などの病気のない人)でも口臭はあります。それが、「生理的口臭」です。朝起きたときや緊張しているとき、空腹時などにお口の中がネバネバしたり、ニオイを感じたりしたことがあるかと思いますが、これが生理的口臭です。
生理的口臭の大きな原因は、唾液の分泌量が減ることです。唾液が減るとお口の中が乾燥し、ニオイが一時的に強くなります。また、舌上の汚れ(舌苔)なども原因の一つとして挙げられます。改善法としては、唾液が不足することで起こる口臭であれば、唾液の分泌を促すことで口臭を解消できます。よく噛んで食事をする、あるいはガムを噛むことなども効果的です。また、口腔内の環境を整えることも大事です。歯を磨くことに加え、夜寝る前だけでも舌磨きをすることで口臭の軽減・予防につながります。
それ以外の口臭
上述のとおり、病的口臭や生理的口臭以外には「飲食物・嗜好品による口臭」、そして「心理的口臭」などがあります。
飲食物・嗜好品による口臭とは、ニオイの強い飲食物(特にニンニクやネギ、ニラやキムチなど)やタバコやお酒、コーヒーなどを口にすることで発生する口臭です。もちろん、これらを控えることで口臭は軽減できますが、あまり神経質になりすぎてストレスを感じてしまってもいけません。改善法として効果的なのは、ニオイの強い飲食物や嗜好品を口にしたら、歯磨き・舌磨きをして口腔内の環境を整えることです。手軽にできる方法としては、うがいや水分補給も有効です。
もう一つは、心理的口臭です。心理的口臭は、実際には口臭はないのに、口臭があるという「思い込み」が原因で起こるもので、「自臭症」「自己臭症」「自己臭恐怖症」などとも呼ばれています。心理的口臭を改善するには、第一に「自分の息は臭くない」と認識しなければいけません。歯科や内科、耳鼻科などを受診した結果、「口臭の原因になるような疾患はない」ということが分かれば、少なくとも病的口臭の可能性はなくなります。そのうえ、「ニオイの強い食べ物は最近口にしていないし、嗜好品も口にしない」ということであれば「飲食物・嗜好品による口臭」でもないので、消去法で生理的口臭の可能性が高くなります。
必要以上に過敏に意識してしまうことで喋るのを控えたり、ストレスを感じてしまったりすると余計に唾液の分泌量が減り、お口の中が乾燥することで口臭が強くなってしまうことがあります。心理的口臭の対策としては、あまり神経質にならないことも大切です。
プロの診断で、適切な治療や予防を
このように口臭が出る原因は様々ですが、原因に合わせた適切な治療や予防に取り組むことでほとんどの口臭は改善できます。逆に、過度な口腔ケアや誤った口臭対策によって臭いがひどくなるというケースもありますので、口臭が気になるという方は早めに歯科医院を受診してみましょう。
歯科医院で口臭測定を受ければ、いろいろなことが分かります。代表的な病的口臭の原因である歯周病の治療は、私たち東京国際クリニック/歯科へご相談ください。
監修者情報
公開日:2017年7月26日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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