2024.02.14
【歯周病予防】歯石除去は歯科医院に任せる!方法や費用の相場をチェック
口腔内にトラブルがあっても矯正治療はできる?
「歯の周りに石のようなものが付いている……」舌で歯の裏側を触ったときのザラっとする感覚。実は歯に付着している「歯石」によるものです。歯石を自分で取り除こうと考える方もいるかもしれませんが、歯石は歯科医院でしか除去することはできません。今回は、歯石を除去するために歯科医院へ行くべき理由と、治療の回数や時間、気になる料金についてご紹介します。
歯石があると歯垢が付きやすくなり、歯周病になりやすくなる
歯石とは、歯に付着している歯垢(プラーク)が唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分と結合し、石灰化したものです。歯石は歯の表面や歯と歯茎の間(歯周ポケット)にできやすく、表面に起伏があるため細菌の温床である歯垢が付着しやすくなります。
また、歯石は上の奥歯の外側や下の前歯の裏側など、唾液が分泌される部分の周辺にできやすくなっています。これらの箇所は歯磨き(ブラッシング)しづらい部分でもあり、日頃から意識して汚れを落とすように心がける必要があります。歯石を放置しておくと歯周病の進行や発症のリスクを高めてしまうので、早めに除去することが大切です。
歯石は歯科医院でしか除去できない
歯石が気になるからと自分でどうにかしようと考える方もいるかもしれませんが、それは避けるべきです。歯石は歯垢が固まった状態で、歯ブラシやデンタルフロスを使っても除去することはできません。自分で無理やり歯石を取ろうとすると、逆に歯や歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。そのため、歯科医院で定期検診を受けたり正しい歯磨き方法を習得したりするなど、日頃から歯石を溜めないように気を配ることが大切です。歯石を除去する場合は、自分でやるのではなく歯科医院に任せましょう。
歯石除去の方法や注意点・頻度
歯医者で歯石を除去する方法と気になる費用
歯石除去の治療は「スケーリング」と呼ばれ、主に歯科衛生士がスケーラーと呼ばれる専用機器を使って行います。スケーラーの鋭くとがった先端部分を使うことで、歯周ポケットや歯の裏側などに付着した歯石を取り除くことができます。スケーラーには手動の「ハンドスケーラー」と、超音波を発生させる「超音波スケーラー」などがあり、従来はハンドスケーラーが主流でしたが、近年では超音波スケーラーを用いる歯科医院が多くなりました。
超音波スケーラーにはさまざまな種類があり、歯周病専用の超音波スケーラーは微振動なのでセメント質を傷つけにくくなっています。また、チップと呼ばれる先端部分を狭い歯周ポケットへうまく入れることで、奥深くに溜まった歯石を除去できます。歯石が付着している部分の歯茎は炎症していることが多いため、施術中に出血を伴うこともあります。
歯科医院で歯石除去は、保険適用のものと自費で行うものの2種類に分かれます。保険適用の場合は虫歯や歯周病の検査・治療の目的に応じて歯石除去を行うケースが多いです。その場合にかかる料金は初診で3,500円ほどが相場となっています。保険治療の場合は1回に行う治療の範囲が限られているため、徹底的に除去したい場合は治療時間や方法に制限のない自費診療の方が、目的に合っているのかもしれません。
自費治療で徹底的に歯をクリーニングする
歯石を取り除く様子
歯石除去を自費治療で行う場合は、用いる方法や器具などに制限がなくなります。自費治療でスケーリングを行う例として、「東京国際クリニック/歯科」の治療内容をご紹介します。歯石の除去には歯周病専用の超音波スケーラーと、歯周ポケットの深部に溜まった歯石を除去できる「エアフローマスター・ペリオフロー」を使用します。
超音波スケーラーを用いることで、歯と歯茎の間にあるセメント質をほとんど傷つけることなく歯石を除去できます。超音波スケーラーの先端は「チップ」と呼ばれる極めて細い形状をしており、歯周ポケットの奥深くまで侵入して歯石と歯垢を徹底的に除去。患者様の口腔内の状況に合わせた最適な治療器具を使い分けます。
歯石の除去では施術を行う歯科衛生士の技術とノウハウ(知識・経験)が大きく関係しています。歯石の除去にハンドスケーラーを用いた場合、セメント質を削り落して知覚過敏を招いてしまうケースがあります。超音波スケーラーの場合も歯科衛生士による治療への精度が高くなければ歯のセメント質を傷つけるだけでなく、歯周ポケットの深部までとどかず歯垢や歯石を完全に除去しきれないこともあります。そのため、歯科医院選びも重要な要素です。
東京国際クリニック/歯科で歯石除去(自費診療)を行った場合は、以下の費用となります。
・クリーニング 60分 10,000円(税別)
・クリーニング 90分 15,000円(税別)
・口腔内検査オーラルチェック 60分 10,000円(税別)
自費で歯石除去を行う場合は、保険治療のように治療方法や治療器具に制限がないため、1回の施術で終わらせることもできます。東京国際クリニック/歯科では、一度の歯石除去で60~90分の治療時間を目安としています。一気に治療するため時間はかかりますが、施術回数を抑えられるので何度も通院する手間が省けます。
歯石除去を行う前にPCRを確立することが重要
歯周ポケットに詰まっていた歯石を除去すると、その分の隙間ができます。歯茎が引き締まるまでの間、きちんと歯磨きができていなければ、残った食べかすから歯垢が付着し、やがては歯石になってしまいます。新たに歯周ポケットに詰まった歯垢がきっかけとなり、歯周病の発症や進行のリスクを高めてしまうのです。
そのため、歯石除去を行う前に「PCR」を確立することですが非常に重要です。PCRとは「プラークコントロール」の略であり、自分の歯並びなど口腔内の特徴に合わせた正しい歯磨きの方法を身に付けるものです。再び歯茎が引き締まるまでの間、歯周ポケットに食べかすが詰まるようであれば、きちんと歯磨きができていない証拠。歯周病の原因となる歯垢や歯石が溜まらないようにするためにも、口腔内環境を整えるPCRを確立することが大切です。歯磨きを重視しない歯科医院で歯垢の除去を行った場合、PCRが確立されないまま治療に入ってしまうケースも少なくありません。徹底的に歯垢や歯石を除去し、歯周病を予防したいという方には、一度歯科医院にて自分の口腔内の状態を知るのが大事です。
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監修者情報
公開日:2019年10月18日
更新日:2024年2月14日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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