歯茎が下がる4つの原因と下がった歯茎を戻すための治療法 | 歯周病治療ペリオド | 東京国際クリニック/歯科

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歯茎が下がる4つの原因と下がった歯茎を戻すための治療法

歯茎が下がる4つの原因と元に戻すための治療法

歯茎が下がる4つの原因と元に戻すための治療法

「なんだか最近、歯が長くなったような気がする……」。歯磨き(ブラッシング)の最中に鏡を見て、ふと不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。歯が長くなったように見える原因は、歯茎が下がったことにより歯の根元が露出して長く見えるためです。歯を支える歯茎が下がってしまうと、口腔内にさまざまな悪影響を及ぼします。そこで今回は、歯茎が下がったように見える4つの理由と、その中でももっとも多い歯周病について解説。下がった歯茎を元に戻す方法も合わせてご紹介します。

歯茎が下がったように見える4つの原因

食事を楽しむために欠かせない健康な歯。本来は歯茎やあごの骨などの歯周組織によってしっかりと支えられていますが、いくつかの理由によって歯茎が下がってしまうことがあります。歯茎が下がることで歯の根の部分が露出し、最悪の場合には歯を失ってしまうことも……。まずは、歯茎が下がったように見える4つの原因を確認しましょう。

(1)重度の歯周病によるもの

歯茎が下がる原因でもっとも多いのが歯周病です。歯周病は歯垢(プラーク)や歯石に潜む歯周病菌が排出する毒素で歯茎が炎症を起こし、歯を支える顎の骨を少しずつ溶かしてしまう病気です。顎の骨が溶かされると、それを覆っている歯茎も退縮してしまいます。歯茎が痩せることで下がっていき歯が長くなったように見えますが、これは歯周病の代表的な症状の一つです。

(2)間違った歯磨き(ブラッシング)によるもの

強く力を入れて磨いてしまうなど、正しく磨けていない場合は歯茎を傷つける原因になります。歯茎を傷つけてしまう「擦過傷(さっかしょう)」になると、歯茎がやせることで退縮し、歯の根元(歯根)が露出。結果として歯が長くなったように見えるのです。歯根が見えると歯の神経に近づくことで、知覚過敏の原因になるなど、口腔内のさまざまなトラブルの引き金になってしまいます。

(3)噛み合わせによるもの

一部の歯が強く噛み合わさっている場合、歯茎に力が加わるため少しずつ痩せてしまい、歯の根元が見えるようになります。噛み合わせが強い(食いしばりの状態)場合、改善策として下顎を動かし、上下の歯を噛み合わせる働きを行わせる強力な筋肉(咬筋)にボトックスを注入。筋肉の動きを抑えるボトックス治療が有効です。個人差はありますが、1回の注入で6ヶ月ほど効果が持続します。

(4)根尖病巣など歯の根の病気によるもの

虫歯が重症化して歯の根の部分まで進行すると、「根尖病巣」と呼ばれる状態になります。根尖病巣は過去の虫歯治療で歯の神経が死んでいる場合にも起こり、根の先に膿が溜まった袋ができます。膿として毒素が分泌されることにより、歯茎を炎症させて痩せさせてしまうのです。

【関連記事】:下がった歯茎の原因、歯磨きなどの治療方法とは?

歯周病かもしれないチェックポイント

歯周病かもしれないチェックポイント

歯茎が下がる原因として可能性が高い歯周病。歯周病になっているかを判断するには、歯茎が下がったという視覚的な情報以外にも、いくつかのチェックポイントがあります。

【チェックポイント1】歯茎から血や膿が出る

歯周病が進行すると、食事中や歯磨きの最中に歯茎から血が出るようになります。これは、歯周病によって歯茎が炎症し、何らかの刺激が加わることで内部にある毛細血管から出血しやすくなってしまうためです。

また、歯周病にかかると体内で白血球などの免疫細胞が活発化し、細菌を駆除しようと活動します。その際にできた白血球や歯周病菌の死骸が膿として排出されるのです。歯茎からの出血に加えて膿が出る場合は、歯周病がかなり進行した状態といえるでしょう。

【チェックポイント2】口臭がする

歯周病になると歯茎からの血や膿によって独自の強い口臭を発します。もちろん、口臭の原因は歯周病だけではありませんが、歯周病の場合は「メチルメルカプタン」という物質を含んだ、魚や野菜が腐ったようなニオイが特徴です。

【チェックポイント3】歯がグラつく

歯周病によって歯を支える顎の骨が溶かされるのに合わせて歯茎が下がることで、歯が長くなったように見えます。十分な支えを失った歯は次第にグラグラと動くようになります。前後左右だけでなく上下にも動くようなら、歯周病がかなり進行している可能性があります。

歯茎の再生治療とは?

歯が長くなったように見える状態を改善する方法は、主に2種類。一つが歯周病で溶かされた顎の骨を再生させる治療、もう一つが今ある歯茎を移植したり移動したりする治療です。

■溶かされた顎の骨を再生させる治療

歯茎が下がってしまった箇所はその下にある骨も失われているケースが多いため、顎の骨を再生させれば歯肉を盛り上げることができます。エムドゲイン法GTR法骨移植がこれにあたります(※)。歯茎が戻るとブラッシングもしやすくなるため、歯周病の再発リスクを抑えることにもつながります。
※骨吸収の進行具合によっては適応できないケースもあるため、事前の検査が必要です

■今ある歯茎を移植・移動する治療

こちらは、いわゆる歯茎の再生治療です。退縮してしまった歯肉は自然には戻らないので、口腔内の別の場所から歯茎の一部を移植(結合組織移植術)したり、同じ歯の上の歯茎や横の歯茎を引っ張って移動(歯肉弁側方移動術・歯肉弁歯冠側移動術)させたりすることで見た目の美しさを取り戻します。私たち東京国際クリニック/歯科では、これらの治療にすべて対応しています。ただし、歯茎の再生治療も適用の症例が限られます。たとえば、歯間乳頭(歯と歯の間の三角形の箇所)の歯肉退縮は一般的には適応ではありません。症例に応じて適応の可否を見極める必要があります。

■ヒアルロン酸注入による歯茎再生治療

歯周病で下がった歯茎を再生するためには、上述した「溶かされた顎の骨を再生させる治療」や「今ある歯茎を移植・移動する治療」を検討します。また、これらとは別の方法として「ヒアルロン酸」を使った処置をおこなう歯科医院や美容外科もあります。

これは、ヒアルロン酸を歯茎に注入することで下がった歯茎を回復し、歯肉ラインを整えることを目的とした処置です。ヒアルロン酸による歯茎の再生治療は、原則として歯茎が健康な状態でないと処置できません。歯周病によって歯茎が下がっている方は、まず歯周病治療によって歯茎の健康を回復することが先決となります。また、ヒアルロン酸はしばらくすると体内に吸収されてしまうため、長く効果を持続させるには定期的に処置を受けなければならない等のデメリットもあります。

なお、ヒアルロン酸注入による歯茎の再生治療は効果が一時的で本質的な改善が見込めないことや科学的根拠がまだ乏しいことなどを総合的に判断し、当院ではヒアルロン酸を用いた歯茎の再生治療はおこなっていません。

歯周病の不安があるなら歯科医院でまずは検査を

歯周病の不安があるなら歯科医院でまずは検査を

歯周病は初期症状が少ないため、歯が長くなったと感じるような少しの変化も見逃さないことが大切です。3つのチェックポイントと合わせて、歯周病の可能性があるなら早めに歯科医院で検査をしてみてください。歯周病の原因は歯垢であり、除去するためには正しい歯磨きを習得することが不可欠です。歯科医院にて病気の進行状態を確認し、口腔内の状態に合わせた適切な治療を受けましょう。歯と歯茎の隙間に詰まった歯垢や歯石を治療によって取り除き、正しい歯磨きによって歯茎の健康を維持することで、歯周病の進行を防ぐことができます。

歯茎の再生治療にはこんなケースも

歯周病がかなり進行してしまうと、治療をしても歯茎が下がったままに見えることが少なくありません。歯周病が完治したことで歯茎の炎症が治まりますが、歯が長くなったように見えてしまいます。「歯茎の見え方が気になる」という方は、歯茎の見た目を回復する歯茎の再生治療があります。

歯茎の再生治療には、主に上顎の奥歯から歯茎を取り、歯茎が下がった部分に移植する「結合組織移植術」や、歯茎を引っ張って歯の根元を覆うなど歯茎を移動させる「歯肉弁移植術」などの方法があります。ただし、採取する歯茎の厚みや移植する歯の形状などにより、これらの治療の適用が難しいケースもあります。

歯茎を健康に保つには日頃の取り組みが大切

歯茎が痩せてしまうと審美的な視点から疲れているように見えてしまうため、人前で笑顔を作るなど歯茎を見せることに抵抗を感じてしまうかもしれません。重度の歯周病は歯茎を下げるだけでなく、治療にも時間や費用がかかってしまいます。歯周病の初期段階なら歯茎の状態を整えることが十分に可能なので、日頃から歯と歯茎の状態を観察し、歯周病などの病気が進行していないか定期的に歯科医院を受診することが大切です。

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監修者情報

公開日:2019年10月19日

更新日:2024年2月14日

清水智幸 東京国際クリニック/歯科 院長

清水智幸(しみずともゆき) 
東京国際クリニック/歯科 院長

歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
日本歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 認定医

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