2024.02.14
健康な歯茎の特徴とは?歯周病予防でピンク色を維持しよう
健康な歯茎はピンク色
本来、健康な歯茎は引き締まった美しいピンク色をしています。きれいな白い歯と合わせて、健康的な笑顔を演出できるでしょう。しかし、腫れて赤みがかったり黒ずんだりした歯茎は、周囲にあまりよい印象を与えません。
健康な歯茎の状態とは
健康な状態の歯茎はキュッと引き締まっており、歯にぴったりと密着しています。健康な状態の歯茎にも歯周ポケットはありますが、深さは1mm~2mm程度で、ブラッシングやフロスなどのお手入れによって出血することはありません。また、健康な状態の歯茎の色は薄いピンク色をしており、歯と歯の間の歯肉の形はきれいな三角形をしています。もう一つ、健康な歯茎に見られる特徴として「スティップリング」があります。スティップリングとは、歯茎にある小さなくぼみのことで、オレンジの表皮のようにツブツブとしています。歯肉炎になると、通常はスティップリングが徐々になくなっていきます。
歯茎の健康を脅かすものを知ろう
美しいピンク色の歯茎を遠ざける原因としてまず、誤った歯磨きによる「擦過傷」があげられます。これは、誤った位置にブラシの毛先をゴシゴシと強くあてることで起こるものです。歯茎が傷つくため出血や歯茎を痩せさせる原因にもなります。
また、喫煙によって歯茎が黒ずむことがあります。タバコに含まれるタールやニコチンなどの有害成分が歯茎に浸み込むことで、歯茎が紫色や黒ずんで見えるようになるのです。喫煙の習慣があると、タバコのヤニで歯が茶色く変色するなど、歯茎と歯全体の健康と美しさを失ってしまいます。
また、いわゆる銀歯(補綴物)が経年によって溶け出すことで、歯茎に沈着するメタルタトゥーも黒ずみの原因となります。
歯周病が進行している可能性も
歯茎が健康かどうかを見極めるために、無視できないもう一つの可能性として、歯周病が進行が疑われます。 もし、歯茎が赤い場合は歯周病の初期段階である「歯肉炎」になっているかもしれません。歯肉炎の段階では歯茎にのみ炎症が起こり、痛みなどの自覚症状を伴わないため、見過ごしてしまいがちです。炎症は、やがて歯を支える歯槽骨などの歯周組織まで進行した歯周炎(歯周病)へと段階を踏み、さらに重症化すれば歯槽骨も溶け、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまいかねません。
そして、喫煙の習慣は歯周病とも大きく関係しています。タバコは歯茎を黒くするだけでなく、喫煙によって抹消血管が収縮して血流が悪くなり、歯茎から出血しにくくなります。タバコを吸う人は歯周病にかかりやすいという事実がありますが、これは、喫煙による影響で歯周病の症状に気づきにくくなるというデメリット(※)があるからです。 つまり、喫煙によって「歯茎からの出血はない」と安心していてはいけないことを示しています。喫煙の習慣のある人は、一度歯科医院を受診することをおすすめします。
歯周病予防で健康な歯茎を守ろう
健康な歯茎を保つためにも、まずは正しい歯磨きの方法を歯周病専門の歯科医院で習得し、歯周病予防に力を入れていきましょう。それにより、擦過傷の予防にもつながります。 歯磨きの際に気を付けるべき点は、口腔内にある「三大不潔域」を意識して磨くことです。三大不潔域は次の3カ所です。
・咬合面(噛む面)
・隣接面(歯と歯の間)
・歯頚部(歯と歯茎の間)
いずれも虫歯・歯周病予防に欠かせない部分であり、この3カ所をとくに意識して歯を磨くようにしましょう。これにより、虫歯や歯周病を予防しやすくなるのです。また、歯と歯の隙間など、隣接面にたまった歯垢は歯ブラシだけでは除去できません。歯ブラシだけで歯を磨いても、口腔内には60~70%ほどの歯垢が残っているとされています。つまり、実際には30~40%ほどしか磨けていないということがいえます。そのため、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃用具の併用により、より多くの歯垢を取り除くことができるとされているのです。
ただし、歯間ブラシやデンタルフロスなどは、あくまで歯と歯の接地面の汚れを除去するための補助清掃用具です。中にはデンタルフロスの使い方で、歯茎に当たるまでゴシゴシ前後に動かす方もいらっしゃいます。デンタルフロスの目的は、歯と歯が隣接している接地部分の汚れを落とすことです。歯茎にフロスが当たることで逆に歯茎を傷つける原因にもなるため、力加減に注意し汚れを落とす箇所を意識して磨くようにするとよいでしょう。美しいピンク色の歯茎を守るためにも1本1本の歯を優しく丁寧に清掃し、口腔内環境を維持することが秘訣なのです。
歯周病の治療方法
歯茎が下がる4つの原因と下がった歯茎を戻すための治療法
インプラント治療とは?メリット・デメリットや注意点
マイクロスコープを使った精密な歯科治療をご存知ですか?
監修者情報
公開日:2019年10月24日
更新日:2024年2月14日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
PICK UP
よく読まれているコラム
RECOMMEND