2024.02.14
金属アレルギーでもインプラント治療を受けられる?
インプラントも銀歯のように金属アレルギーの原因になる?
金属製の詰め物や被せ物は、人によって金属アレルギーの原因になります。金属部分が溶け出して体内に侵入することで、アレルギーの原因物質になるのです。いわゆる「銀歯」は保険治療の際に多く使わる素材で、金属アレルギーの方は注意が必要です。
そこで、近年では口腔内のパッチテストを行うことで、どんな金属に対してアレルギー反応が出るかを事前に判断できるようになっています。また、アレルギー反応が出ず、見た目も美しいセラミック(陶器)製などの人工歯の採用率も高まっており、被せ物や詰め物の選択肢が大きく広がっています。
しかし、失った歯の機能回復のために、外科手術によって人工歯根を直接顎の骨に埋め込むインプラント治療の場合、金属アレルギーの原因になるのではないかと心配される方も多くいらっしゃるでしょう。そこで今回は、インプラント治療と金属アレルギーの関連性について解説します。
インプラントでは金属アレルギーはほとんど起こらない
インプラントとは主に、歯周病や虫歯が重度にまで進行してしまい抜歯したケース、あるいは事故など外傷によって失われた歯を補う治療の一つとして行われる、非常に優れた治療です。天然歯の約90%という噛む力と、自然な見た目を実現できる審美性の高さから、入れ歯やブリッジに代わる治療法として近年多くの注目を集めています。
インプラントは顎の骨に埋め込む「人工歯根(インプラント)」「連結部分(アバットメント)」「人工歯(上部構造)」の3つのパーツで構造されています。顎の骨に埋め込む人工歯根部分はチタンという金属製で、非常に高い生体親和性を持ち、周囲の骨としっかり結合します。チタンには、金属アレルギーをほとんど起こさないという特徴があります。
東京国際クリニック/歯科では、スイスの「ストローマン社」製のインプラントを採用しています。その理由は、「Journal of Dental Research(ジャーナル オブ デンタル リサーチ)」という、2016年に発表された論文により、ストローマン社製のインプラントは歯周病に似た症状のインプラント周囲炎にかかるリスクがもっとも低いことが分かっているためです。
金属を使わない人工歯を装着できるのがメリット
チタン製の人工歯根であるインプラント自体には、金属アレルギーが発症したという報告はほとんどありません。むしろ、上部構造である人工歯(被せ物)のほうが、金属アレルギーが起こりやすいとされています。これらの部分に金属が使われていた場合、アレルギー反応が起こるリスクをゼロにはできません。
ただし、人工歯に金属不使用の「ジルコニアセラミック」を用いれば、アレルギー反応を抑制することができます。人工ダイヤモンドを素材にしたジルコニアセラミックは、天然歯と遜色ないほどの審美性と高い強度を両立できる点が強みです。このように、インプラントを構成するパーツすべての素材に注意を払うことで、金属アレルギーのリスクを大幅に下げられるのです。
日々のメンテナンスも重要
東京国際クリニック/歯科では、インプラント治療において素材や審美性だけを追求するのではなく、細部にまで歯磨きのしやすい人工歯を作製することが大切だと考えています。なぜなら、磨き残しによって歯垢(プラーク)が残り、歯周病に類似した病気「インプラント周囲炎」の発症リスクが大幅に高まるからです。
せっかく外科手術を伴うインプラントを一度手に入れたなら、インプラント周囲炎に気を付けながら、できるだけ長く使用したいものです。インプラントを長期間使い続けるためにも、定期的に歯科医院でのメンテナンスを受け、口腔内の環境を整えることが、口腔内の健康維持につながります。
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監修者情報
公開日:2019年10月26日
更新日:2024年2月14日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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