2024.02.14
歯垢・プラーク・歯石の3つの違いと予防・除去法
意外と知らない歯垢とプラーク、歯石の違い
歯ブラシや歯磨き粉のCMなどでよく耳にする「歯垢」や「プラーク」、歯科医院のサイトに記載のある「歯石」。これらの違いについて、意外とご存知ないという方も多いのではないでしょうか? 今回は、歯垢とプラーク、歯石のそれぞれの違いや予防・除去方法について解説します。
歯垢は細菌が固まったもの
重度になると上記動画のようになります。
実は、歯垢とプラークが同じものだとご存知でしたか? 歯垢は別名プラークとも呼ばれ、虫歯菌や歯周病菌をはじめとする微生物の塊であり、黄白色で粘着性の高い物質です。歯垢1mg中には数億以上の細菌が潜んでおり、虫歯菌や歯周病菌などの細菌の温床となっています。歯ブラシが不十分だと、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)、あるいは歯と歯の間などに歯垢(プラーク)はどんどん溜まっていくことで、細菌の「質」が変化していきます。
歯垢は歯に付着した食べカスの塊だと思われがちですが、実は全くの別物です。細菌は、食べカスに含まれる有機質を栄養源にして活発化するため、食べカスを残さないことで細菌の活動を抑えることができます。しかし、歯磨きが不十分だと歯垢に潜む細菌を繁殖させたり、口臭の原因になったりします。
歯垢が固まると歯石になる
歯に付着した歯垢が唾液に含まれる成分と反応し、石灰化したものが歯石です。歯茎の縁の上にある歯石は乳白色で、それよりも下にあるものは褐色化しているのが特徴です。歯石はすでに死んでしまった細菌の塊で、直接的に歯周病の原因にはなりません。ただし、歯石の表面は凹凸上になっており、歯垢が付着しやすい状態にあります。歯石の上に歯垢が付着して石灰化すると、さらに大きな歯石となり、歯茎の炎症を招く結果となってしまうのです。
つまり、歯石があるということは、その歯はとくに「磨けていない歯」であり、歯周病発症のリスクが大幅にあがります。歯石は歯科医院でしか除去することはできません。自己流で除去しようとすると、歯を支える歯周組織を傷つけるなど、さらに悪化してしまうケースが少なくありません。
歯石除去の方法や注意点・頻度
歯垢と歯石を徹底的に除去しよう
歯垢は食後約8時間で生まれ、48時間後には歯石へと変化します。つまり、食後すぐの歯磨きが、歯垢と歯石を増やさないために欠かせません。歯垢、あるいは歯垢から歯石へと変化させないためにも、1日1回は丁寧にきちんと歯磨きをすることで、しっかりと歯垢を取り除きましょう。
歯垢を除去するためには歯磨きに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を併用し、歯と歯の隙間や歯周ポケットに溜まった歯垢を取り除きましょう。正しい歯磨きをすることでしか歯垢は除去できないのです。
ただし、歯石だけはセルフケアで取り除くことができません。歯石は非常に硬く、どれだけ歯ブラシで磨いても落とせないからです。逆に、力を入れて磨きすぎると歯周組織を傷つける原因となり、予防どころか、歯茎の炎症を悪化させる恐れもあります。そのため、歯石は歯科医院で定期的に除去しましょう。歯石を取り除くためには、歯科衛生士による「スケーリング」という処置が必要です。鋭い先端部を持つスケーラーという器具を歯周ポケットや歯面に当てて、徹底的に歯垢や歯石を取り除きます。
このように、歯垢とプラーク、歯石の違いを知り、正しい予防法と対処法を身につけることが、お口の中の健康維持につながります。虫歯や歯周病の予防には、歯面や歯と歯茎の境目に歯垢を溜めない、歯石にならないようにすることが重要です。そのため、お口の健康維持のためにも、定期的に歯科医院で行うチェックがとても重要になります。
監修者情報
公開日:2019年10月26日
更新日:2024年2月14日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
PICK UP
よく読まれているコラム
RECOMMEND