2024.01.22
インプラント周囲炎とは?原因と治療法とは?
歯周病は天然歯だけの問題ではない
インプラント周囲炎とは?
歯周病は天然歯だけの問題ではない
日本人が歯を失う理由の第1位は歯周病です(※出典:平成17年(財)8020推進財団調査)。30歳以上の約80%が歯周病かその予備軍と言われており、虫歯で歯を失う人より歯周病で歯を失う人のほうが多いのが現実です。
たとえば、1本の歯を失った場合、「まだ食事ができるから大丈夫」「目立たない場所だから大丈夫」などと考えて、そのまま放置している人もいます。しかし、たとえ1本でも歯がなくなると、噛み合わせが悪くなったり、空いたスペースを補うために周囲の歯が動いて歯並びが悪くなったりします。そうなると、口腔内の健康を維持するのが難しくなり、2本・3本と続けて歯を失ってしまうパターンも少なくありません。
インプラントなら安心なのか?
口腔内の健康を維持するためには、失った歯の機能を回復させる治療を受ける必要があります。従来は、失った歯の機能を回復するための治療法としては、入れ歯やブリッジが一般的でしたが、近年ではインプラント治療を選ぶ人が増えています。
そもそもインプラント治療とは、顎の骨にチタン製のインプラント(人工歯根)を埋め込み、その上にセラミックなどの人工歯を被せて歯の機能を回復する治療法です。インプラントは天然歯とほぼ同等の噛む力を得られるうえ、見た目も自然でまったく違和感がないのがメリットです。インプラントと入れ歯・ブリッジの比較については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
インプラントの歯周病が「インプラント周囲炎」
入れ歯やブリッジに比べると、インプラントは非常に優れた治療法だと言えます。しかし、弱点がないわけではありません。「インプラントは人工の歯だから虫歯や歯周病にはならない」と考えている人もいますが、それは違います。インプラントは人工歯なので虫歯になることはありませんが、メンテナンスを怠ると歯周病になるリスクはあります。
インプラントに起きる歯周病を「インプラント周囲炎」と言いますが、インプラント周囲炎になると歯茎(歯肉)に炎症が起き、顎の骨が溶かされ、インプラントがグラグラしてきます。
そのままにしていると、せっかく外科手術までして埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまう恐ろしい病気なのです。
メリットばかりが注目されるインプラントですが、トラブルなく、長きにわたって使い続けるには、適切なメンテナンスが欠かせません。ご自宅での歯磨き(ブラッシング)を怠ったり、定期検診に行かなかったりすると、口腔内環境が悪化してインプラント周囲炎になるリスクは高くなります。どんな人でも、どんな症例でも、常にインプラントがベストであるとは限りませんので、しっかりとリスクも踏まえたうえで治療法を選ぶことが大切です。
インプラント周囲炎の原因とは?
インプラント周囲炎はインプラントに起きる歯周病であり、その原因も歯周病と同じく、プラーク(歯垢)に潜む歯周病菌です。原因がプラークであるということは、基本的にプラークを溜めなければインプラント周囲炎は予防できます。にもかかわらず、インプラント周囲炎にかかる人が後を絶たないのが現状です。
歯周病が治っていないのにインプラント治療をするのは危険!
インプラント周囲炎にかかる人が多い最大の理由は、「歯周病が治っていない状態でインプラントを入れる人が多いから」です。歯周病を治さないままインプラントを入れると、非常に高い確率でインプラント周囲炎を発症します。実際に、歯周病を治さないままインプラントを入れると、インプラント周囲炎になる確率が4倍高まることが明らかになっています。
残念なことですが、昨今、インプラント周囲炎によってインプラントを失ってしまう人が増えています。この理由を、簡単にご説明します。
→ 歯周病が重症化すると、顎の骨が溶かされて歯がグラグラしてくる。
→ さらに悪化すると、歯が抜け落ちてしまう(抜歯せざるを得なくなる)。
→ 歯を失ってしまった人は、食事がしにくくなるなどの不便に直面する。
→ できるだけ早く、元どおりの「噛める生活」を取り戻したいと考える。
→ 歯周病が治っていないのに、インプラント治療を受ける。
→ 歯周病が治っていなければ、当然、口腔内に歯周病菌がたくさん生息している。
→ インプラント周囲の組織が歯周病菌に感染しやすくなる。
こうして、多くの人がインプラント周囲炎を発症してしまうのです。
「抜歯してインプラント!」と言う歯科医院は信用できない!?
歯周病が治っていない状態でインプラントを入れると、インプラント周囲炎にかかるリスクが高くなるのは明らかです。そうであるなら、歯周病で歯を失ってしまった人に「早くインプラントを入れてください」と言われても、歯科医院はそれを断るべきあり、インプラント治療の前に歯周病を完治させるべきです。
しかし、歯周病を治さないままインプラント治療をする歯科医院は少なくありません。それどころか、歯周病で歯がグラグラしてくると、「抜歯してインプラントを入れましょう」と提案する歯科医院も多くあります。
近年、日本の歯科医療では抜歯の本数が明らかに増えています。これは、今までであれば残していた歯が抜かれている可能性を示しています。もちろん、抜歯するしか手立てがない場合もありますが、歯を残せるのに抜歯をすすめる歯科医院があるのも事実です。これには、主に2つの理由が考えられます。
・「歯周病は治らない」と考えているドクターがいる
歯周病は老化に伴う病気だと考えられていた時代もありましたが、40年以上も前に適切な処置によって予防・治療ができることが明らかになっています。しかし、驚くべきことですが、未だにこの事実を知らないドクターがいるのが現状です。
・歯医者にとってインプラント治療のほうが効率がいい
今の日本の保険制度では、歯周病治療はその難易度のわりに利益率が低く、インプラント治療は利益率が高い治療と言われています。そのため、本来であれば残せる歯を抜いてインプラントをすすめる歯科医院が存在することは否定できません。
もし、あなたの歯周病が進行して、「抜歯してインプラントを入れましょう」と言われても、いったんは判断を保留しましょう。そのうえで、歯周病治療を専門とする歯科医院にセカンドオピニオンを求めるべきです。歯周病治療を専門とする医院なら、歯周病を完治させ、あなたの大切な歯を残す手段を持ち合わせているかもしれません。
ブラッシング・定期検診を怠るのはNG!
しっかりと歯周病を完治させたうえでインプラント治療を受けた場合でも、インプラント周囲炎にかかってしまうことがあります。この場合は、単純に口腔内環境を悪化させてしまうことに原因があります。
歯周病を完治させてせっかく理想的な口腔内環境を手に入れても、毎日のブラッシングが疎かになったり、定期検診に行くのを怠ったりすれば、すぐに口腔内環境は悪化していきます。口腔内にプラークが溜まれば、当然、インプラント周囲炎にかかるリスクは高くなってしまいます。
インプラント周囲炎の症状とは?
インプラント周囲炎の代表的な症状は、歯茎からの出血や排膿です。しかし、これらの症状はインプラント周囲炎が重症化するまで気付きにくいものです。また、インプラント周囲炎が進行すると顎の骨が溶かされていきますが、顎の骨が薄くなっても、インプラントは天然歯のようにグラグラすることはありません。インプラント周囲炎は、「炎症を起こしにくい」「出血しにくい」「痛みがない」「かなり進行しても不自由なく食事ができる」など、歯周病以上に気付きにくいのが厄介なところです。
それだけでなく、インプラント周囲炎は進行するのが非常に速い病気です。なぜかと言うと、インプラントが人工物だからです。インプラントは物理的な強度においては天然歯より優れていますが、人工物ゆえに人間本来の「免疫」が有効に機能せず、細菌に対する抵抗力は格段に弱いという弱点があります。ちなみに、顎の骨が溶かされる速さは、歯周病が1年で0.1~0.2mm程度なのに対し、インプラント周囲炎では1~2mm程度と、歯周病の約10倍の速度で進行していきます。
インプラントの周囲の骨が減ると周囲の歯肉が退縮していき、インプラントのネジの部分が露出してしまいます。そして、やがてインプラントが抜けてしまうのです。
天然歯がグラグラする原因とは?
上述のとおり、インプラント周囲炎が進行すると顎の骨が溶かされますが、インプラントがグラつくことはほとんどありません。一方で、歯周病が進行すると、天然歯はグラグラするようになります。天然歯がグラグラする原因はほとんどの場合、歯周病です。
歯周病は、口腔内のプラーク(歯垢)内で繁殖した歯周病菌が、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に炎症を引き起こすことからはじまります。歯周ポケットの炎症がひどくなると、歯を支えている顎の骨も次第に溶かされていきます。顎の骨が溶かされると歯を支えられなくなり、歯がグラグラするようになってくるのです。
なお、天然歯がグラグラする原因は歯周病だけではありません。歯のグラグラの原因については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
歯がグラグラして痛いのは歯周病?
歯茎の炎症に要注意!
インプラント周囲炎も歯周病も、最初は歯茎に炎症を起こし、歯茎の腫れや出血が見られるようになります。普段の歯磨きでも歯茎から出血することはありますし、体調が悪くなると歯茎が腫れたりします。そのため、多くの人は歯茎が炎症を起こしても、「そのうち治るだろう」「大したことはないだろう」とスルーしがちです。
しかし、出血や腫れに気付いているなら、早めに歯科医院を受診しなければいけません。もし、歯周病やインプラント周囲炎にかかっているとしたら、取り返しのつかないことになる可能性もあります。歯茎の炎症については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
歯茎が炎症する原因である歯周病の症状と治療法
インプラント周囲炎の進行段階
インプラント周囲炎は、インプラント周囲疾患の一部です。インプラント周囲疾患は、厳密に言うと、以下の2段階に分けることができ、「インプラント周囲粘膜炎 → インプラント周囲炎」へと進行します。
・インプラント周囲粘膜炎
インプラント周囲の粘膜に炎症が起こった状態です。インプラント周囲に溜まったプラークが原因で、歯肉などの粘膜に炎症を起こします。歯周ポケットからの出血も認められます。インプラント周囲粘膜炎の症状を自覚するのは非常に難しいため、気付かないままインプラント周囲炎へと進行してしまう方も少なくありません。
・インプラント周囲炎
炎症が、歯茎だけでなく顎の骨まで広がった状態です。インプラント周囲の骨が溶かされていき、インプラントを支えきれなくなるとインプラントが脱落してしまいます。歯茎の腫れや痛みが出にくいため、気付かないケースが多々あります。インプラント周囲炎を予防・早期発見するには、インプラント周囲炎治療に関する見識を備えた専門医の診断が欠かせません。
歯周病に感染していませんか?
インプラントの周囲に炎症を起こしている方は、同時に、周囲の天然歯が歯周病にかかっている疑いもあります。「歯茎の腫れや出血がある」「硬いものを噛むと痛みを感じる」「歯がグラグラする」といった症状はありませんか?
歯周病の進行を許すと、天然歯を失うリスクが高くなります。それだけでなく、血管に侵入した歯周病菌が体内の様々な臓器に運ばれることで、糖尿病や心臓疾患などの全身疾患を悪化させる恐れもあるのです。また、妊婦さんが歯周病になると、早産・低体重児出産のリスクも高まります。心配な方は一度、以下のページで歯周病の進行度をチェックしてみましょう。
歯周病の進行度
歯周病の進行段階を知っておこう
歯周病にかかっていても、それに気付いていない人はたくさんいます。なぜなら、歯周病は初期の自覚症状に乏しい病気だからです。自分では気付きにくいということは、歯科医院で発見してもらうしかありませんが、定期的に歯科検診を受けている人はそれほど多くはありません。そのため、「隠れ歯周病患者」が増えてしまうのです。
「異変に気付いて歯科医院に行ったら、重度の歯周病だった」という人も少なくありません。歯周病を早期発見するには、歯科医院で定期検診を受けるのはもちろん、ご自身でも歯周病の進行段階や症状を知っておき、お口の状態をチェックする習慣を付けることが大切です。歯周病の進行段階や各段階の症状・治療法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
歯周病の進行度(軽度・中度・重度)の症状と治療法
インプラント周囲炎の治療方法とは?
インプラント周囲炎にかかると、最善を尽くしても、インプラントを残せないケースがあります。というのも、インプラント周囲炎が現在のところ、治療法が確立していない病気だからです。
歯周病に類似した病気であるなら、歯周病と同様の治療法で治せるように思えるかもしれません。もちろん天然歯における歯周病治療と同様に、インプラント周囲炎治療では、インプラントに付着したプラークや歯石を徹底的に除去していきます。しかし、このアプローチは、天然歯における歯周病治療ほどうまくいきません。なぜなら、天然歯と違ってインプラントは、顎の骨と結合しやすくするために特殊な表面処理が施されており、インプラントに付着したプラークを完全に除去するのが難しいからです。こういった理由から、インプラント周囲炎は治療が非常に難しい病気だとされています。最悪の場合は、外科手術をしてインプラントを撤去することになってしまいます。
インプラント周囲炎のリスクは計り知れない
インプラント周囲炎になると、周囲の天然歯にまで悪影響を及ぼすリスクがあります。また、インプラントが抜け落ちてしまった場合、空いたスペースを埋めようと隣り合う歯が動くため、歯並びにも悪影響が出てきます。さらに、血管に侵入した歯周病菌が体内の様々な部位に運ばれることで、糖尿病や心臓疾患などの全身疾患を悪化させる恐れもあるのです。
歯周病に関する専門知識を持った歯科医院を探そう
歯周病に関する専門知識を持たないドクターは、歯周病が完治していないのにインプラント治療をおこなうケースがあります。また、「歯周病は治らない」と考えているドクターもいますが、「治らない」と考えている以上、歯周病を治す気もありません。そのため、安易に抜歯をしてインプラント治療をおこなうケースがあります。上述のとおり、歯周病を完治させないままインプラント治療をおこなうと、かなり高い確率でインプラント周囲炎を発症します。結果として、歯周病で失った天然歯を補うために入れたインプラントを、再び歯周病(インプラント周囲炎)で失いかねないのです。
このような悲劇を防ぐためには、歯周病治療に関する専門性はもちろん、インプラント治療に関しても高度な専門性を有する歯科医師を探すのが一番です。以下のページでは、歯周病治療を専門的に扱っている歯科医院をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
歯周病専門医がいる歯科医院
金属アレルギーとインプラント
金属製の詰め物や被せ物は、人によって金属アレルギーの原因になります。金属部分が溶け出して体内に侵入することで、アレルギーの原因物質になるのです。たとえば、保険治療の際に多く使われる「銀歯」は、金属アレルギーを引き起こすリスクが高い素材です。
今、金属アレルギーでお悩みの方は、「インプラントを入れたいけど、金属アレルギーの原因になるのではないか……」と心配になるでしょう。インプラント治療と金属アレルギーの関連性については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
金属アレルギーでもインプラント治療を受けられる?
インプラント周囲炎の予防方法とは?
インプラント周囲炎の直接の原因はプラークに潜む歯周病菌です。そうであるなら、インプラント周囲炎を予防するには、「プラークを溜めないこと」「歯周病菌を増やさないこと」が基本になってきます。インプラント周囲炎を予防するにあたって重要なことは、以下のとおりです。
01:歯周病を治してからインプラントを入れる
上述のとおり、歯周病を治さないままインプラントを入れると、非常に高い確率でインプラント周囲炎を発症します。歯周病を治さないままインプラントを入れると、健常者がインプラントを入れた場合に比べ、インプラント周囲炎になる確率が約4倍も高くなることが明らかになっています。インプラント周囲炎を予防するには、歯周病を完治させてからインプラント治療を受けることが必須です。
02:インプラントを入れすぎない
インプラントの本数が多い人ほど、インプラント周囲炎になりやすいというデータがあります。具体的には、お口のなかのインプラントの本数が6.4本を超えると、インプラント周囲炎のリスクが高まることが明らかになっています。インプラント周囲炎を予防するには、インプラントを入れ過ぎず、できるだけ自分の歯を残すことが重要になってきます。
03:歯磨きがしやすいインプラントを入れる
インプラント治療と言うと、費用や見た目、材質や耐久性ばかりに関心が集まりがちですが、本当に重要なのはそこではありません。どれだけリアルで美しい被せ物を作っても、歯磨きがしにくい形態なら、プラークが溜まりがちでインプラント周囲炎のリスクも高まります。インプラント周囲炎を予防して、インプラントを長く使っていきたいなら、インプラントの被せ物の形態にこだわり、「歯磨きしやすい被せ物」を入れることが重要です。
04:インプラントメーカーにこだわる
昨今、巷では「格安インプラント」を謳う歯科医院が増えています。インプラントは決して安価な治療ではありませんので、患者様にとって「安いインプラント」は魅力的に映るかもしれません。しかし、格安インプラントを選んだがために、インプラント周囲炎になってしまったら、結果的にトータルの費用負担は増えてしまいます。インプラント周囲炎を防ぐには、信頼できるメーカーのインプラントを選ぶ必要があります。おすすめは、スイスの「ストローマン社」製のインプラント。なぜなら、ストローマンインプラントは、「Journal of Dental Research(ジャーナル オブ デンタル リサーチ)」という、2016年に発表された論文により、インプラント周囲炎にかかるリスクがもっとも低いことが分かっているからです。
05:歯磨きとメンテナンスでプラークを溜めないようにする
インプラント周囲炎を予防するには、口腔内にプラークを溜めないことが重要です。そのためには、毎日のブラッシングと定期的なメンテナンスが欠かせません。主に歯茎から上のプラークは歯磨きで落とし、歯茎から下(歯周ポケット)のプラークは歯科医院でのメンテナンスで落とします。なお、歯石もインプラント周囲炎の間接的な原因になりますが、歯ブラシでは落とすことができません。歯石は歯科医院でのクリーニングで除去してもらうようにしましょう。
意外と知らない人が多い「歯垢」「プラーク」「歯石」の違いについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
歯垢・プラーク・歯石の3つの違いと予防・除去法
06:生活習慣を改善する
タバコを吸うと白血球の機能が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が低下します。同様に、ストレスを抱えていると体の免疫力が下がり、歯周病菌に対する抵抗力が低下します。インプラント周囲炎を予防するには、喫煙者は必ず禁煙をすること、そして、ストレスを溜め込み過ぎない生活を心がけることが大切です。
インプラント周囲炎の治療にかかる費用とは?
インプラント周囲炎の治療費は、症状や進行段階によって変わってきます。もし、インプラント周囲炎によってインプラントが脱落してしまった場合は、再度、インプラント治療をやり直す費用もかかってきます。ご自身が不自由を強いられるだけでなく、金銭的な負担も増えてしまうため、やはりインプラント周囲炎を予防することが一番です。
インプラント治療後は、定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける必要がありますが、「毎回のメンテナンス費用がもったいない」と感じる人もいるようです。しかし、「インプラント周囲炎の治療にかかるお金」に比べたら、「インプラント周囲炎を予防するためのメンテナンスにかかるお金」のほうが格段に安いのは明白です。メンテナンスの頻度は人によって異なりますが、3~4ヶ月に1回が一般的です。1年に3~4回のことですから健康を維持するための有益な投資だと考えて、欠かさずにメンテナンスを受けるようにしましょう。
インプラント周囲炎の保険とは?
インプラント治療自体が保険適用ではないため、基本的にインプラント周囲炎の治療も保険は適用されず自己負担となります。ただし、インプラント周囲炎によってインプラントを除去しなければいけない場合、インプラント治療をおこなった歯科医院以外で除去する場合は、保険適用になることがあります。
なお、多くの歯科医院ではインプラント治療に保証を付けています。インプラントの保証は、「決められた保証期間内にインプラントにトラブルが起きた場合は再治療を行う」という内容が一般的ですが、「定期的に歯科医院でのメンテナンスを受けること」を条件としているケースが多くあります。つまり、メンテナンスに行くのをサボっていて、インプラントにトラブルが起きてしまった場合は、保証の対象外になるということです。インプラント治療を受ける際は、必ず保証内容・条件について確認しておきましょう。
インプラントを長期にわたって使い続けるために
インプラント治療は、術後のメンテナンスが非常に重要です。インプラントの手術自体は数時間で終わりますが、インプラントはその後、数十年にわたって使うことになる人工歯です。安定して使っていくためには、ご自宅での歯磨きに加えて、歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。定期的に歯科医院でチェックを受けることで、仮にインプラント周囲炎の兆候がある場合も早期に発見でき、即座に進行を食い止められるからです。一度、手に入れたインプラントを長期にわたって使い続けるため、適切なケアを継続していきましょう。インプラントを長持ちさせるために重要なことは、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
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監修者情報
公開日:2019年10月29日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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