2024.01.22
歯の黄ばみの原因と対策。予防法や歯を白くする方法は?
歯の黄ばみは印象ダウン!
初対面では、見た目の印象が9割とも言われます。そして、見た目の印象を左右する大きなポイントが「口元」です。実際に、歯が黄ばんでいる人とそうでない人では、第一印象が大きく変わってきます。ある調査では、歯が黄ばんでいる人の印象として「不潔」「不衛生」「歯磨きをサボっていそう」「口臭がありそう」「老け顔に見える」など、数多くのマイナス意見があがりました。
欧米人は歯に対する意識が高く、社会的にも歯並びや歯の白さが重視されています。そのため、歯が黄ばんでいる人は就職に不利になってしまいます。近年、日本でもホワイトニングが一般的になって歯が白い人が増えてきたため、逆に歯が黄ばんでいる人は目立ち、就職面接などでも減点になってしまうようです。
白い歯はさわやかで好印象!
一方で、歯が白い人は初対面の相手にも好印象を持ってもらえます。歯が白い人の第一印象としては、「清潔感がある」「さわやか」「明るい」といった意見が多くを占めます。就職面接でも、「自己管理がきちんとできる人」「顧客や取引先に好感を持たれる人」といった印象を与えることができ、結果的に「信頼できる」「採用したい」と思わせることができるのです。白くてきれいな歯は、それだけで人として大きな魅力になるということです。
もちろん、白い歯は面接だけでなく、あらゆる人間関係においてプラスに働きます。恋愛においては言わずもがな。歯が白く笑顔が輝いている人は、異性からも魅力的に映るはずです。
歯の黄ばみの原因とは?
白くきれいな歯を目指すなら、歯の黄ばみの原因を知っていなければいけません。歯の黄ばみの原因は、大きく「加齢」「プラーク(歯垢)・歯石」「食習慣」「喫煙」の4つに分けられます。一つずつ解説していきましょう。
■加齢
私たちの歯は、表面にエナメル質という半透明の層があり、その内側に象牙質という黄色っぽい層があります。象牙質の色には個人差がありますが、年を重ねるにつれ表面のエナメル質が薄くなっていき、内側にある象牙質が透けるようになります。これが、加齢によって歯が黄ばんで見えるようになるメカニズムです。
■プラーク(歯垢)・歯石
ブラッシングだけですべてのプラーク(歯垢)を除去するのは不可能です。そのため、毎日しっかり歯を磨いていてもプラークは残ってしまい、口腔内に残ったプラークは2~3日で石灰化して歯石へと変わります。プラークも歯石も乳白色なので、プラーク・歯石が溜まっている人は歯が黄ばんでいるように見えてしまいます(歯そのものが黄ばんでいるわけではありません)。
■食習慣
色素の強い飲食物は、歯の着色・黄ばみの原因になります。飲食物に含まれる色素が歯の表面に付着することを、ステイン(着色汚れ)と言います。ステインの原因になる飲食物としては、コーヒー、お茶、紅茶、赤ワイン、チョコレート、カレー、ケチャップ、キムチなどが代表的です。
■喫煙
喫煙は、歯が黄ばむ原因になります。タバコの煙で部屋の壁紙が黄ばんでしまうのと同じように、喫煙習慣がある人は歯が徐々に黄ばんでいきます。
歯の黄ばみを予防するには?
歯の黄ばみを予防するためには、口腔内環境をできるだけ清潔に保つことが重要です。歯の黄ばみ・着色を防ぐオーラルケアのポイントは以下のとおりです。
■ブラッシング
歯の黄ばみを予防したい方は、低発泡歯磨き粉でのブラッシングをおすすめします。一般的な歯磨き粉は発泡剤が入っていて泡立ちが良いので、「しっかり磨けている」ように錯覚しがち。そのため、ブラッシングが不十分になっているケースが多々あります。
一方で、低発泡歯磨き粉は泡がほとんど出ないので、意識的に丁寧に磨くようになります。磨き残しが少なくなれば、むし歯・歯周病予防はもちろん、歯の黄ばみ・着色予防にもつながります。
■歯間ブラシ・デンタルフロス
上述のとおり、歯ブラシによるブラッシングだけですべてのプラークを除去するのは不可能です。歯と歯の間や歯と歯茎の間に溜まったプラークを除去するには、歯間ブラシやデンタルフロスが役立ちます。歯間ブラシやデンタルフロスを併用して、できるだけプラークを溜めないようにしていれば、むし歯・歯周病のリスクを下げられるだけでなく、歯の黄ばみ・着色も予防できます。
>> 歯間ブラシ・デンタルフロスの正しい使い方や注意点
■うがい
こまめにうがいをすることで、歯の黄ばみを予防することができます。特に、着色しやすい飲食物をとった後にうがいをするのが効果的です。仕事中や外出先などでうがいをするのが難しいときは、水を飲んだりガムを噛んだりするだけでも効果があります。水を飲めば着色の原因物質を洗い流せますし、ガムを噛めば唾液の分泌が促されるため、着色の原因物質が口腔内に留まりにくくなります。
自宅でできる歯の黄ばみ対策グッズってどうなの?
最近では、「歯の消しゴム」や「ホワイトニングペン」など、自宅で気軽にできることを謳った歯の黄ばみ対策グッズが増えています。しかしながら、その効果は「?」が付くものばかり。自己判断で安易にグッズを使うのは避けたほうがいいでしょう。
また、ネット上でも、手軽にできる歯の黄ばみ対策など様々な情報が出回っていますが、残念ながら根拠に乏しい情報も多く、逆に歯の健康や見た目を損なってしまう方もいるようです。歯の黄ばみを改善・解消したいなら、歯科医院を受診するのが賢明です。
■歯の黄ばみの誤った手入れ方法
ホワイトニング歯磨き粉の使いすぎはNG!
ホワイトニング歯磨き粉には通常、研磨剤が含まれています。研磨剤入り歯磨き粉は、歯の黄ばみを落とす効果が期待できますが、使いすぎると歯の表面のエナメル質が削れてしまい、むし歯の原因になることがあります。
歯の黄ばみを気にしている方は、ただでさえ強い力でゴシゴシ磨いたり、磨きすぎたりする傾向にあるので注意が必要です。ホワイトニング歯磨き粉を使うときは、研磨剤が少ないものを選んだり使う間隔を空けたりして、歯が削れないように配慮しましょう。
重曹で歯磨きはNG!
ネットなどで、重曹を使った歯磨きの情報を見かけることがあるかもしれません。重曹は水に溶けにくくザラザラしているので「磨き粉」として掃除に使えることは有名ですが、重曹を歯磨きに使うのはNGです。
歯の表面を研磨して汚れを落とすという考え方自体は研磨剤入り歯磨き粉と同じですが、重曹は非常に研磨力が強いのが特徴。歯に深刻なダメージを与えてしまうリスクがあるため、歯磨きに使うべきではありません。
レモン汁やお酢で歯磨きはNG!
私たちの歯は酸に弱く、酸にさらされると歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」という症状を引き起こします。具体的には、コーラやスポーツドリンク、お酢やドレッシング、レモンやグレープフルーツなど、酸が強い飲食物は酸蝕歯の原因になります。
ネット上では、レモン汁やお酢などの強い酸で歯を磨く方法が紹介されていますが、黄ばみが落ちないどころか歯が溶けるリスクが高くなるだけです。正確には、酸によって歯の表面のエナメル質が溶けるのですが、エナメル質が溶けるとその内側にある象牙質がむき出しになります。象牙質には歯の神経につながる無数の細かい孔が空いているため、酸蝕歯は知覚過敏を起こすリスクも高くなります。
歯医者でできる歯の黄ばみの対策
歯科医院では通常、「ホワイトニング」という施術で歯の黄ばみを除去して白い歯を取り戻します。ホワイトニングとは、歯の内部に専用の薬剤を浸透させることによって歯を白くする方法。歯科医院でおこなう「オフィスホワイトニング」と、ご自宅でおこなう「ホームホワイトニング」が一般的です。
短期間で歯を白くしたいなら、オフィスホワイトニングがおすすめです。オフィスホワイトニングは濃度の高い薬剤を使うため、高い漂白効果が得られます。しかも、即効性があるため1回の施術で歯の白さを実感できます。オフィスホワイトニングを受けた後、定期検診に通っていれば、白くて健康な歯をキープしていけるでしょう。
まとめ
ネットで調べれば、「手軽なホワイトニンググッズ」や「自宅でできる歯の黄ばみ対策」など、様々な情報を見つけられます。しかし、残念ながら根拠に乏しい情報も多く、逆に歯の健康や見た目を損なってしまう事例もあるようです。
歯の黄ばみを改善したいなら、真偽の確かでない情報を鵜呑みにするのではなく、歯科医院に相談するのが近道です。歯科医院のホワイトニングなら、黄ばみを取り除くだけでなく、歯の色を理想の白さにすることができます。
また、歯科医院のクリーニング(PMTC)もおすすめです。ホワイトニングのように歯を内部から漂白することはできませんが、歯の表面に付いた着色汚れを除去して、本来の歯の白さを取り戻すことができます。口腔内の健康チェックも兼ねて、一度、歯科医院でクリーニングを受けてみてはいかがでしょうか。
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監修者情報
公開日:2020年2月7日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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