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歯周病の原因となる歯周病菌の種類と全身への影響

歯周病の原因となる歯周病菌の種類

歯周病の原因はプラークに潜む歯周病菌で、それによって引き起こされる感染症が歯周病です。「歯周病菌」というのは特定の一つの菌を指しているわけではなく、歯周病の発症・進行に関与する細菌の総称です。実際には、800種類を超える細菌が歯周病の発症・進行に関与していると言われています。なかでも、特に注意を要するのが「レッドコンプレックス」と呼ばれる細菌です。

■レッドコンプレックスとは?

レッドコンプレックスとは歯周病の進行を早める細菌のことで、具体的には以下の3種の細菌のことを言います。

・P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
・T.f菌(タネレラ・フォーサイシア)
・T.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)

レッドコンプレックスの3つの菌が揃うと歯周病が進行しやすくなりますが、なかでもP.g菌がもっとも病原性の強い細菌だと言われています。

現在のところ、P.g菌はどこから感染するのか分かっておらず、歯周病でない人の口腔内から検出されることもあります。常在菌かもしれないという説もありますが、思春期以降の唾液感染によるものという考え方が有力です。

口腔内が健康な状態であればP.g菌は低病原性であり、感染していても体に害が及ぶことはほとんどありません。しかし、ブラッシングが不十分になるなどして口腔内が不衛生な状態になると、歯茎に炎症が起こり、歯茎から出血するようになります。そうなると、P.g菌はたちまち高病原性になります。

P.g菌の特徴の一つとして、血液をエサにするという性質があります。そのため、歯茎からの出血があるとP.g菌は血液をエサにして数百倍から数万倍にまで増殖して、歯周ポケットをどんどん深くしていくのです。また、P.g菌は酸素のない場所を好みます。歯周ポケットの深さが4mm以上になるとポケットの奥深くは酸素が少なくなるため、P.g菌はますます活発になります。そうなると、私たちの体はP.g菌を避けるために自ら骨を溶かします。これが、歯周病によって顎の骨が溶かされるメカニズムです。

■「P.g菌と歯周病」に関する最近の考え方

ここまでご説明したとおり、歯周病は「P.g菌を代表とするレッドコンプレックスによる細菌感染症」であると言えます。しかしながら、最近はこの考え方が少し変わりつつあります。

近年の研究によって、P.g菌は免疫を抑制する働きがあることが分かってきました。健康な状態であれば、私たちの口腔内は常在菌がバランスの良い状態で保たれています。しかし、口腔内でP.g菌が増えると身体の免疫バランスが崩れます。その結果、「歯周病に関連する他の細菌が増えることで歯周病が進行する」と考えられるようになってきました。P.g菌によって宿主の防御機能が低下することで、他の常在菌の数や組成に変化が起き、それによって歯周病が発症・進行するという考え方です。

今後の研究に注視する必要がありますが、いずれにしてもP.g菌はプラーク(歯垢)のなかで増殖することに変わりはありません。歯周病の発症・進行を防ぐには、プラークの取り残しをできるだけ少なくする「プラークコントロール」が重要です。

歯周病と脳血管疾患の関係

歯周病が進行すると、血液を介して歯周病菌が各臓器に運ばれ、全身疾患に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。その一つが、脳梗塞などの脳血管疾患です。脳梗塞とは、脳内の血管が細くなったり、血栓ができて血管が詰まったりすることで発生する病気です。血管が詰まると血液の流入が止まり、脳に酸素や栄養が届かなくなります。その結果、脳の神経細胞が壊死してしまい、様々な障害が生じることになります。

脳梗塞の患者は、歯周病に感染している割合が高いことが明らかになっており、歯周病の患者は、そうでない人に比べ2.8倍、脳梗塞になりやすいというデータがあります。これは、歯周病菌が血流に乗って全身をめぐることで、脳梗塞の原因となる動脈硬化を引き起こしているからだと考えられています。

歯周病と心臓疾患の関係

歯周病は、心筋梗塞や感染性心内膜炎などの心臓疾患と関連があることも明らかになっています。

心筋梗塞とは、動脈硬化によって心筋に血液を送る血管が狭くなったり塞がったりして、心筋に血液を供給できなくなる病気です。歯周病菌の影響によって血管内にプラーク(動脈の内面に溜まった脂肪性沈着物)ができることで、血管が狭くなって詰まりやすくなると考えられています。

感染性心内膜炎とは、血流に乗って心臓に入り込んだ細菌が、心臓の弁や心内膜の小さな傷などに付着して病巣を作ることによって炎症を起こしたり、弁を壊したりする感染症です。歯周病に感染すると歯茎から血管内に細菌が侵入し、血流に乗って心臓に運ばれることで感染性心内膜炎を引き起こすリスクがあることは、感染性心内膜炎のガイドライン(※)にも明記されています。
※ 日本循環器学会、日本胸部外科学会、日本小児循環器学会、日本心臓学会 合同研究班著『感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)』

歯周病と糖尿病の関係

歯周病は従来から、糖尿病の合併症の一つと考えられてきました。実際に、糖尿病の患者はそうでない人に比べて歯周病に感染している人が多いという調査結果が多々あります。また、歯周病になると糖尿病が悪化するという逆の関係も明らかになっています。つまり、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼし合う関係にあるわけです。

■糖尿病患者が歯周病にかかりやすい理由

・糖尿病によって免疫力が低下するから
糖尿病になると、細菌を飲み込む働きをしてくれる好中球(白血球の一種)の働きが鈍くなります。その結果、体内の感染防御機能が低下するため、歯周病をはじめとする様々な感染症にかかりやすくなります。

・糖尿病によって修復機能が低下するから
私たちの体では、細胞が壊れる(死滅する)とその分だけ新しい細胞が作られる(修復する)という新陳代謝がおこなわれています。しかし、糖尿病になると組織の修復機能が低下して新しい細胞の修復が間に合わなくなるため、歯周病が発症・進行しやすくなります。

■歯周病にかかると糖尿病が悪化する理由

・歯周病によってインスリンが生成されにくくなるから
歯周病に感染すると、細菌から出される毒素が歯茎の毛細血管から血液中に入り込むことがあります。このとき、私たちの体は毒素に対抗する物質(サイトカイン)を出します。しかし、このサイトカインによってインスリンが生成されにくくなるため血糖値が下がらなくなり、糖尿病が悪化してしまうのです。

歯周病と早産・低体重児出産の関係

妊婦さんが歯周病に感染している場合、早産や低体重児出産のリスクが高まることが明らかになっています。歯周病にかかっている妊婦さんは、そうでない妊婦さんに比べて早産・低出生体重児の確率が約2~4倍になるというデータがあります。これは、タバコやアルコール、高齢出産によるリスクよりも高い数値です。

早産や低体重児出産を避けるためには歯周病にならないことが重要ですが、女性は妊娠すると歯周病にかかりやすくなります。その理由としては、以下のような点が挙げられます。

・ホルモンバランスが変化するから
妊娠中は女性ホルモンの分泌が活発になりますが、女性ホルモンは特定の歯周病菌の増殖を促す作用があることが分かっています。

・つわりによってブラッシングが不十分になるから
つわりがひどくなると、ブラッシングをするのがつらくなります。十分なブラッシングができないと口腔内に汚れが溜まりがちになるため、歯周病を発症しやすくなります。

・免疫力が低下するから
女性は妊娠すると自然と免疫力(細胞性免疫)が低下する仕組みになっています。免疫力が下がることで歯周病にかかりやすくなります。

歯周病と誤嚥性肺炎の関係

歯周病と誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の関連性も明らかになっています。誤嚥とは、加齢や認知症などによって飲み込む機能が低下することで、食べ物などが誤って気管に入り込んでしまうことです。誤嚥によって食べ物などと一緒に口腔内の細菌が気管に入り込み、肺にまで到達すると、肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすリスクが高くなります。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは歯周病菌であると言われています。

誤嚥性肺炎を予防するためには、「口腔機能の維持・向上を図ること」と「歯周病菌の数を少なくすること」が重要です。飲み込むときに使う筋肉を鍛えるなどして口腔機能を維持できれば、誤嚥をするリスクが少なくなります。また、万が一誤嚥をしてしまっても、口腔内の歯周病菌が少なければ誤嚥性肺炎を起こすリスクも少なくなります。

歯周病と骨粗鬆症の関係

歯周病と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)には関連性があることが分かっています。骨粗鬆症とは、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。日本には骨粗鬆症の人が1,000万人以上いると言われていますが、その大半が女性であり、50歳以上の女性の4人に1人が骨粗鬆症になっているというデータもあります。骨粗鬆症は自覚症状がないため、骨折を起こすまで気付かないケースが多くあります。

骨粗鬆症の大きな原因は、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することで、骨の量が減ることです。女性ホルモンの分泌が低下すると、歯を支えている顎の骨の量も減り、歯周病が進行しやすくなります。また、歯周病が進行して歯を失ってしまうと、噛む機能が低下して食べ物の消化・吸収が悪くなります。その結果、カルシウムなどの栄養が不足して、骨粗鬆症が悪化するケースもあります。

歯周病と関節炎・腎炎の関係

歯周病は、関節炎や腎炎(糸球体腎炎)を引き起こす可能性があることも分かっています。

関節炎とは、関節内に炎症を生じる病気のことで、関節部に痛みが生じます。原因は多岐にわたりますが、細菌感染も原因の一つです(細菌性関節炎)。糸球体腎炎とは、糸球体(小さな穴がたくさん空いた微細な血管でできた球状の腎組織で、血液をろ過する働きがある)が侵される病気で、むくみや高血圧などの症状が現れます。

関節炎や糸球体腎炎が起きる原因の一つとして細菌感染があります。歯周病菌も関節炎や糸球体腎炎の原因となる細菌の一つであり、歯周病菌が血液中に入り込んだり歯周病によって作り出された炎症物質が血液中に入り込んだりすることで、関節炎や糸球体腎炎を起こすことがあります。

歯周病とメタボリックシンドロームの関係

最近の研究では、歯周病とメタボリックシンドロームの関連性が指摘されるようになっています。

メタボリックシンドロームとは、肥満に加え「血圧」「血糖値」「血中脂質」のうちの複数の危険因子を持っている状態のことを言います。メタボリックシンドロームの診断の基本になるのは、ウエストのサイズ(=内臓脂肪の蓄積状態)です。男性の場合は85cm以上、女性の場合は90cm以上あることが、メタボリックシンドロームの最初の条件になります。それに加えて、「血圧」「血糖値」「血中脂質」のうち2つ以上の項目に異常所見が見られる場合、メタボリックシンドロームと診断されます。

・血圧(いずれか、または両方)
収縮期血圧(最高血圧):130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧):85mmHg以上

・血糖値
空腹時血糖値:110mg/dl以上

・血中脂質(いずれか、または両方)
中性脂肪値:150mg/dl以上
HDLコレステロール値:40mg/dl未満

メタボリックシンドロームは、食生活の乱れや運動不足、睡眠不足、過度なストレスなどの生活習慣が原因であると考えられていますが、歯周病患者はメタボリックシンドロームの発症リスクが高いという研究結果が報告されており、近年は歯周病との関連性が注目されるようになっています。逆に考えれば、歯周病を予防することがメタボリックシンドロームの予防にもつながるということです。

まとめ

歯周病は「お口のなかの病気」だと考えている方が大半ですが、本記事で解説したとおり、実は様々な全身疾患との関係性が明らかになっています。実際に、歯周病の進行を許すことで全身の健康が損なわれるケースも多々あり、歯周病にかかると脳血管疾患や心臓疾患、誤嚥性肺炎など命に関わる疾病を引き起こすリスクも高くなります。

歯周病を寄せ付けない口腔内環境を作ることが、全身の健康維持につながることは間違いありません。歯周病は自覚症状の薄い病気なので、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。日々のブラッシングと定期検診で歯周病を予防して、全身の健康を維持していきましょう。

※ 参考:日本臨床歯周病学会 | 歯周病が全身に及ぼす影響

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監修者情報

公開日:2021年5月19日

更新日:2024年1月22日

清水智幸 東京国際クリニック/歯科 院長

清水智幸(しみずともゆき) 
東京国際クリニック/歯科 院長

歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
日本歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 認定医

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