インプラントに失敗する原因とは?治療のリスクや歯科医選びのポイントをご紹介 | 歯周病治療ペリオド | 東京国際クリニック/歯科

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インプラントに失敗する原因とは?治療のリスクや歯科医選びのポイントをご紹介

インプラント治療は、失ってしまった歯の機能を補うことができる優れた治療法であり、インプラント治療をおこなう歯科医院も、インプラント治療を受ける人も年々増加しています。しかしその一方で、失敗例が増えているという事実を見逃すことはできません。今回は、インプラント治療の失敗例とその原因について解説するとともに、インプラント治療を受ける歯科医院選びのポイントについてもご説明します。

インプラント治療の失敗例と症状別の原因

インプラント治療における失敗例と、考えられる原因についてご説明します。

■失敗例:インプラントを入れたばかりなのにグラつく

インプラント治療は、埋入したインプラントが顎の骨と強固に結合することで噛む機能を回復させる治療法です。インプラントの素材であるチタンは顎の骨と結合する性質がありますが、まれに十分に結合せず固定されないケースがあります。そうなるとインプラントがグラついてしっかり噛むことができないだけでなく、最悪の場合はインプラントが脱落してしまいます。

失敗の原因01:ドリリング時の冷却が不足していた

インプラントと顎の骨が結合しない原因として考えられるのが、ドリリング時の冷却不足です。インプラントを埋入する際は、顎の骨にドリルで穴を開けます。このドリリングによって熱が発生するため同時に冷却をする必要がありますが、冷却が不足すると顎の骨が火傷を負ってしまいます。そうなると、インプラントと顎の骨がうまく結合しなくなってしまうのです。

失敗の原因02:細菌感染を起こした

インプラントを埋入する際に細菌感染が起きると、インプラントのグラつきや脱落を招いてしまいます。細菌感染を起こす原因の一つとして、患者さまの口腔内環境が不衛生であることが挙げられます。また、インプラント治療をおこなう手術室や手術に使う器具の衛生管理が不十分であることや、手術中の滅菌レベルが低いことなどが原因で細菌感染を起こすこともあります。

失敗の原因03:強い力が加わった

インプラントを埋入してからあまり時間が経たないうちに患部に強い力が加わると、インプラントと顎の骨の結合が妨げられインプラントがグラついてしまうことがあります。

■失敗例:インプラントを埋入した後に麻痺・しびれが生じた

インプラントを埋入した後に、お口まわりに麻痺やしびれが生じることがあります。

失敗の原因01:インプラントが適切に埋入されなかった

インプラントを埋入するとき、その位置や深さ、角度に問題があると、神経を損傷して麻痺やしびれが生じる可能性があります。CTやガイドシステムを使ってインプラント手術をしていれば十分に回避できる失敗ですが、レントゲンだけの簡易的なシミュレーションで手術をしたり、経験だけに頼って手術をしたりすると神経を損傷してしまうことがあります。

■失敗例:インプラントを埋入してからしばらくして出血・腫れ・膿みが生じた

インプラントを埋入して一定期間が経ってから起こるトラブルは、多くの場合、インプラント周囲炎が原因となっています。インプラント周囲炎とはインプラントに生じる歯周病のことで、症状としては歯茎の腫れや出血、排膿などが生じます。
>> インプラント周囲炎の詳細はこちら

インプラント周囲炎に感染してしまう主な原因は、以下の3点です。

失敗の原因01:ブラッシングが不十分だった

インプラント周囲炎の原因は、歯周病と同様にプラークです。患者さまのブラッシングが不十分なためにインプラント周辺にプラークが溜まってしまうと、インプラント周囲炎に感染するリスクが高くなります。

失敗の原因02:定期検診を受けていなかった

インプラント周囲炎を予防するためには、ご自宅でのブラッシングとともに歯科医院での定期検診が欠かせません。インプラント周囲炎は、その前段階として「インプラント周囲粘膜炎」という段階があります。インプラント周囲粘膜炎の段階で治療をすれば治すことができますが、インプラント周囲炎にまで進行してしまうと治療の成功率は大幅に下がります。実際に、インプラント周囲炎でせっかく入れたインプラントをダメにしてしまう方は定期検診を受診していない方がほとんどです。

失敗の原因03:歯周病が治っていない状態でインプラント治療をした

歯周病が重症化したために歯を維持できなくなり、抜歯してインプラント治療をおこなうケースは少なくありません。それ自体は悪いことではありませんが、歯周病が治っていない状態でインプラントを入れることは非常に大きなリスクを伴います。歯周病が治っていないままインプラントを埋入すると口腔内にある歯周病菌がインプラントの周囲にも感染し、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが大幅に高くなります。

■失敗例:インプラントの人工歯が破損した・外れた

インプラントを使っていると、人工歯(被せ物)が破損したり外れたりするケースがあります。

失敗の原因01:歯ぎしり・食いしばりのクセがある

インプラントの人工歯(被せ物)が欠けるなど破損してしまうケースは、歯ぎしりや食いしばりが原因になっていることが大半です。天然歯には、噛んだときの衝撃をクッションのように吸収する「歯根膜」という組織がありますが、インプラントには歯根膜がないので、噛んだときの衝撃がそのまま人工歯に伝わります。歯ぎしりや食いしばりのクセがある人は継続的に強い空が加わり続けるため、人工歯が破損してしまうケースがあります。

失敗の原因02:噛み合わせのバランスが悪い

噛み合わせのバランスが悪いためにインプラントの人工歯(被せ物)に過剰な負担がかかっていると、人工歯の破損を招くことがあります。この場合、一部の歯だけに力が集中しないように噛み合わせのバランスを整える必要があります。

失敗の原因03:アバットメントが緩んでいた

インプラントは、顎の骨を埋め込んだ人工歯根と人工歯を接合する「アバットメント」をいうパーツがあります。まれに、アパットメントの締め付けが不十分なために人工歯が緩んで、グラついたり外れたりしてしまうケースがあります。

インプラント治療のリスク・デメリット

インプラント治療には以下のようなリスクやデメリットがあります。インプラント治療を検討している方は、あらかじめ認識しておきましょう。

・インプラント治療は保険適用が認められておらず、自費診療となります。入れ歯治療やブリッジ治療に比べると、費用負担も大きくなります。
・顎の骨がまだ成長過程にある18歳未満の方はインプラント治療を受けることができません。
・糖尿病の方は、インプラント治療の前に糖尿病の治療・改善が必要になる場合があります。
・喫煙者の方は、インプラント治療の前に禁煙する必要があります。
・口腔内の衛生状態が悪い方は、インプラント治療を受けられない場合があります。
・インプラント治療や麻酔やレントゲン、CTなどを使うため、妊娠中の方にはおすすめできません。
・心臓疾患や骨粗鬆症がある方は、インプラント治療を受けられない場合があります。
・インプラント治療は外科手術をともないます。顎の骨に穴を空け、そこに人工歯根(インプラント)を埋め込みますが、インプラントが顎の骨に固定されるまで3ヶ月程度かかります。その後、セラミックでできた人工歯を装着して噛む機能を回復します。
・インプラントの手術直後は、痛みや腫れ、出血などが生じることがあります。
・インプラント治療の後は、定期的なメインテナンスが必要になります。

インプラント治療を受ける歯科医院選びは慎重に

インプラントは非常に優れた治療ですが、上述のような失敗・トラブルが起きる可能性はゼロではありません。歯の治療なので命に関わることはないと思われるかもしれませんが、インプラント治療のミスによる死亡事故も報告されています。

2007年、東京都の歯科医院で、インプラント治療を受けた女性(当時70歳)が手術中に死亡しました。死因は口腔内の出血などによる窒息死でした。インプラントを埋入する際に顎の骨に穴を空けますが、ドリルで顎の骨を貫通し、動脈を損傷してしまったのです。この事故が起きた大きな要因が、事前にCT撮影をおこなわずレントゲン写真だけで済ませていたことです。詳しくは後述しますが、安全なインプラント治療を受けるためには、歯科医院が「CTを導入していること」は絶対条件になってきます。

インプラント治療で失敗しないための歯科医院選び

インプラント治療における上記のようなトラブルを避けるためには、歯科医院選びが重要になってきます。歯科医院を選ぶ際に念頭に置いておきたいのが、以下の4つのポイントです。

■CTやガイドシステムを導入している歯科医院

インプラント手術に際しては、事前に十分な検査・シミュレーションをおこなうことで動脈損傷などのリスクを低減し、安全性を担保しなければいけません。そのためには、CTやガイドシステムなどの最新設備が必須になります。CTやガイドシステムを導入していない歯科医院でインプラント治療を受けるのは、失敗のリスクが高いと言わざるを得ません。

■歯周病専門医がいる歯科医院

インプラント治療を受ける歯科医院を選ぶ際は、やはりインプラント治療の実績を気にする方は多くいます。そのため、インプラントの埋入本数をアピールする歯科医院もありますが、過去の埋入本数が多いからと言って長く使えるインプラントが手に入るとは限りません。実際に、インプラント治療を受けてから数年後に不具合が生じて、治療をやり直す方が後を絶ちません。

トラブルなく長期的にインプラントを使っていきたいなら、インプラント治療の実績以上に「歯周病治療の実績」を重視して歯科医院を選ぶべきです。インプラント治療が失敗に終わる原因のほとんどはインプラント周囲炎なので、いかにインプラント周囲炎を予防できるかが重要になってきます。インプラント周囲炎を予防するには、歯周病に関する知見・ノウハウを持った歯周病専門医の力が必要です。

また、インプラントリカバリーの実績にも注目すべきです。インプラントを埋入することより、不具合が生じたインプラントをリカバリーするほうがはるかに難易度の高い治療であり、インプラントリカバリーに対応できない歯科医院も多々あります。その意味で、他院でおこなったインプラント治療のリカバリー実績が豊富な歯科医院であれば、インプラント治療の品質にも一定の信頼を置けるはずです。

■ブラッシング指導に力を入れている歯科医院

インプラントの最大のリスクであるインプラント周囲炎を予防するには、できるだけ口腔内にプラークを溜めないようにすることが重要です。そのため、ブラッシングを中心とした術後のケアまでしっかり管理してくれる歯科医院を選ぶ必要があります。患者さま自身が正しくプラークコントロールできるようになるまで根気よくブラッシング指導をしてくれる歯科医院なら、安心してインプラント治療を任せられるでしょう。

■プラークが溜まりにくい口腔内環境づくりをしている歯科医院

口腔内にプラークを溜めないようにするには、患者さま自身による正しいブラッシングが欠かせませんが、「ブラッシングしやすい口腔内環境」を整えるのは歯科医院の仕事です。

インプラント周囲炎に感染してしまう方は、インプラントの被せ物が「プラークが溜まりやすい形状」になっているケースが少なくありません。インプラント治療の審美性をアピールしている歯科医院は多くありますが、どれだけ見た目が良いインプラントでも、プラークが溜まりやすくインプラント周囲炎にかかってしまったら意味がありません。見た目だけでなくブラッシングのしやすさ(清掃性)を重視した被せ物を提供するなど、プラークが溜まりにくい口腔内環境づくりをしている歯科医院を選ぶべきです。

まとめ

インプラントを安全に埋入できる歯科医院を探すのは難しいことではありません。しかし、インプラント周囲炎を徹底的に予防して、半永久的に使っていけるインプラントを提供してくれる歯科医院はそれほど多くはありません。

価格(安さ)だけで歯科医院を選ぶと、それほど遠くない将来、インプラントに不具合が生じるリスクが高くなります。そうなるとインプラント治療のやり直し(インプラントリカバリー)が必要になるなど、トータルのコストは高くついてしまいます。トラブルなく長期的にインプラントを使っていくには、最初に治療を受ける段階から信頼できる歯科医院を見極めることが大切です。

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監修者情報

公開日:2021年6月11日

更新日:2024年1月23日

清水智幸 東京国際クリニック/歯科 院長

清水智幸(しみずともゆき) 
東京国際クリニック/歯科 院長

歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
日本歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 認定医

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