2024.01.22
歯周病は歳をとってからかかる病気?
歯周病(歯槽膿漏)と聞くと、「歳をとってからかかる病気」というイメージをお持ちの方が多いと思います。実際に「歯周病は加齢が原因」と歯科医師も言っていた時代もあり、歯周病で歯がグラグラになっていても、「もう歳だから仕方ない・・・」と治療をあきらめてしまう方もいらっしゃいました。それはそうですよね。歯周病の原因が本当に加齢であるならば、若返ることができない以上、歯周病を治す術はないということになってしまいます。
しかし、これはもう遥か昔の話。現在の歯科医療では、歯周病菌(歯周病菌が棲みついているプラーク)が歯周病の原因であることは、疑いようのない事実として証明されています。つまり、口腔内の歯周病菌やプラークを減らすことができれば、十分に予防と治療ができる病気なのです。
にもかかわらず、いまだに加齢が原因であると考え、その場しのぎの歯周病治療しか行わない歯科医院があるのは極めて残念なことです。
歯周病の原因は加齢ではない!
上述のとおり、歯周病の原因は歯周病菌であり加齢ではありません。
歯周病は年齢に関係なく誰もが感染するリスクのある病気であり、歯磨き(プラークコントロール)がしっかりできていなければ、10代や20代でも感染してしまう可能性があるのです。「歯周病は年寄りがかかる病気」だと思っている人は、歯茎の腫れや出血といった、歯周病が疑われるような症状があっても「まだ若いから歯周病になるはずがない」と考え、結果として悪化させてしまいがちです。
日本人の8割が歯周病であるという事実
歯周病は、日本人の成人の約8割が感染している、またはその予備軍だと言われています。また、10歳以上の子供の2人に1人が歯周病の初期症状である「歯肉炎」にかかっていることが確認されています。これらの数字の受け取り方は人それぞれだと思いますが、「私に限っては大丈夫」と楽観している人は、将来、歯の健康が脅かされてしまうかもしれません。歯周病は誰しもがなり得る病気です。そのため、歯周病にならないようにするためには、ご自身でおこなっていただくブラッシングがとても大切なのです。
歳をとると歯周病にかかりやすくなる!?
歳をとったせいで歯周病にかかるわけではありませんが、加齢によって感染しやすくなる傾向があるのは事実です。私たちは歳をとると、若い頃に比べて免疫力が低下してきます。免疫力が落ちてくると歯周病菌に対する抵抗力も下がり、歯周病にかかりやすくなるのです。歳をとってから発症した歯周病は進行しやすく、治りにくい傾向にあるため、特に中年以降の方は予防・早期発見を心がけるようにしましょう。
「若いから大丈夫」は通じない
本コラムでいちばん伝えたかったのは、「歯周病の原因は加齢ではない」ということです。歳をとると歯周病にかかりやすくはなりますが、歳をとってもしっかりとプラークコントロールができていれば、歯周病は十分に予防できます。逆に、毎日の歯磨きがいい加減で、口腔内の歯周病菌を増やしてしまうと、若くても歯周病に感染するリスクは高くなります。
歯周病に「若いから大丈夫」は通じません。何歳の人でも感染するリスクがあるということを、ぜひ覚えておいてください。
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監修者情報
公開日:2015年12月10日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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