日本は「歯科先進国」?その定義と分かれる意見 | 歯周病治療ペリオド | 東京国際クリニック/歯科

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日本は「歯科先進国」?その定義と分かれる意見

se_02_Stockholm「歯科先進国では国民の予防意識が高い」
「歯科先進国では高齢でも歯を失わない人が多い」

歯科医院などのホームページで、こうした情報を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。技術水準や生活水準、教育水準が高く、経済が発展した国家のことを「先進国」と言いますよね?実は、この考え方は歯科の世界にも存在しています。

ですが、歯科医院で「歯科先進国では当たり前の考え方です」「歯科先進国で注目されているおすすめの治療です」と言われても、肝心の歯科先進国が何を指しているのかを知らなければ、その情報をどの程度信じて良いものか分かりませんよね。今回のコラムでは、そんな「歯科先進国」という言葉にフォーカスを当ててみたいと思います。

歯科先進国とは何か?

まず、「歯科先進国」という言葉の定義は存在しておらず、解釈がとても曖昧です。つまり歯科医院や歯科医師によって、基準や意見が分かれる可能性が多いにあるということです。

歯周病治療に特に力を入れている私たち東京国際クリニック/歯科では、「歯科疾患の因果関係に基づいた科学的な治療や処置を行っていること」、「虫歯や歯周病にならないための予防に注力していること」が歯科先進国と呼べる一つの条件であると考えています。確かなデータに基づいて治療をすれば、世界のいかなる場所であっても同等の改善結果が得られる――。そういった「予知性のある治療」を行える医院を数多く有する国が、歯科先進国と呼べるのではないでしょうか。

その点から言えば、スウェーデン(写真)やフィンランドなどの北欧諸国は歯科先進国だと思います。そして、スイスやドイツなどのヨーロッパ諸国やアメリカも歯科先進国に該当すると思います。こういった国々の臨床データや論文、治療法などは科学的根拠がしっかりしており、当院の治療基準もスカンジナビア学派と呼ばれるスウェーデン王立イエテボリ大学の臨床データを科学的根拠の中心としています。

「日本=歯科先進国」に異論が出る理由

「全体的に見れば日本も歯科先進国である」と考えるドクターが多くいる一方で、「日本=歯科先進国」という意見には一部異論があるのも事実です。その背景には、自分たちにとって都合の良いデータを恣意的に選んでいるドクターが一定数いることが挙げられます。

例えば、「殺菌作用のある機能水でうがいをすれば歯周病が改善する」と説明する歯科医院があったとします。しかし、2016年の現時点で「歯周病治療に殺菌作用のある機能水が有効だ」という世界的なエビデンス(証拠)はありません。ある程度の予防効果は期待できるものの、歯周病を治してくれるような夢のような洗口剤や歯磨き剤は存在しない――というのが歯科先進国での共通認識です。

重要なのは、発表されたデータや報告がどの国のどの研究機関・医療機関から出されたものであるかをしっかり確認して治療にフィードバックすること。治療のすべては患者さんのために行うものであり、ドクターや医院の都合で“良いデータ”だけを根拠にするのは正しくありません。

日本の歯科医療における「課題」

もう30年以上も前の話ですが、私の歯周病学における師であるスウェーデン王立イエテボリ大学のヤン・リンデ教授が言っていた言葉が今でも印象に残っています。「日本人はみな勤勉で、街もキレイ。キレイな服装(スーツ)で髪型も清潔だが、なぜ口の中だけあんなに汚れているんだ?」

日本が世界をリードする歯科先進国となるには、歯に不具合が出てから歯医者に行くという習慣を、虫歯や歯周病にならないために歯医者に行くという習慣に変えていく必要があります。しかし現在の制度では、「予防」は保険診療として認められていません。これを国の制度として変えていこうというのは、少し難しいのもまた事実です。

日本の歯科医療従事者の「使命」

そういった事情の中で、私たちは正しい歯科知識をお伝えすることが患者さんご自身の「予防力アップ」につながると考えています。どのように取り組めばどのようなメリットがあるのか、またそうしないとどのようなリスクがあるのかを患者さんにしっかりご説明して予防に努めていただくことは、私たち歯科医療従事者の使命と言えるでしょう。

例えば、歯周病が発症するにはプラーク(およびそこに潜む細菌)の存在が必要で、逆に言えばプラークを完全に除去できていれば歯周病は発症しません。しかし、ご自身のブラッシングだけで100%プラークを除去できるケースはほとんどないと言えます。だからこそ、歯科医院で定期的に汚れ具合を検査したり、プラークを除去してもらったりすることが大切なのです。

「8020」を実現して真の歯科先進国に

1989年から厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会が推進している「8020(ハチマルニイマル)運動」は、80歳の時点で20本以上の自分の歯を保つことを目的としたプロジェクトです。歯が20本以上あればほとんど不自由なく咀嚼ができる(満足な食生活を送れる)と言われており、スウェーデンやフィンランドといった歯科先進国ではこの「80歳で平均残存歯20本以上」をクリアしています。

大切な歯を維持していつまでも充実した食生活を送り続けるために、私たち東京国際クリニック/歯科では「歯周病治療の専門家」の観点からみなさんをサポートしています。もし現在、歯周病のお悩みやトラブルがあるという方は、私たちと一緒にできるだけ早く解消しましょう。

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監修者情報

公開日:2016年10月30日

更新日:2024年1月22日

清水智幸 東京国際クリニック/歯科 院長

清水智幸(しみずともゆき) 
東京国際クリニック/歯科 院長

歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
日本歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 認定医

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