2024.01.22
歯医者でのブラッシング指導は本当に必要なのか?
「歯磨きは、歯周病治療の一つ」。こう言うと驚かれる方もいますが、毎日の正しい歯磨きだけで歯周病(歯肉炎・歯周炎)は良くなります。ただし、「歯を磨いている」と「歯を磨けている」 は完全に別物。1日3回歯磨きをしていても歯周病になる方はいますし、1日1回の歯磨きでも歯周病にならない方はいます。
大事なことなので繰り返しますが、「磨いている=磨けている」 ではありません。正しいブラッシングをマスターすることが最も有効な歯周病の予防法であり、治療法となります。この「正しいブラッシング」を覚えるために有効なのが、歯周病治療を専門とする歯科医院でブラッシング指導(TBI:Tooth Brushing Instructions)を受けていただくことです。東京国際クリニック/歯科がお届けするこのコラム、今回はブラッシング指導についてお話をしていきたいと思います。
「一時的」ではなく「長期的」な改善のために
歯科医院で患者様にいつものようにブラッシングをしてもらい、良い点や良くない点をお伝えしながら正しい磨き方を身に付けてもらえるようにアドバイスする歯科治療がブラッシング指導です。「せっかく通院しているのだから治療をしてほしい」「なぜ歯磨きの指導を受けるだけで診療代を支払わないといけないのか」。ブラッシング指導を受けられた方の中には、このように感じた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
実際のところ、指導を受ける前にその必要性を理解されている患者様はほとんどいません。さらに言えば、ブラッシング指導という言葉自体を知らない患者様の方が多いと思います。ですが私たち東京国際クリニック/歯科では、そういった患者様に正しいブラッシングの大切さを一から丁寧にお伝えし、そのやり方をマスターしていただきたいという想いから、ブラッシング指導に力を入れています。
歯茎の下の歯周病菌を綺麗に取り除いたとしても、ご自宅でのプラークコントロールが正しくできていなければ歯周ポケット内にプラークは3日で溜まってしまいます。歯周病が再発してしまったら、PERIOD.(ペリオド)の治療を受けていただいた意味がありませんよね?「一時的」ではなく「長期的」な改善のために、ブラッシング指導が果たす役割はとても大きいと考えています。
基本を身に付けて歯周病からお口を守る
オーラルケアグッズ販売などでお馴染みのライオン株式会社の調査(2014年)によれば、「歯磨きに自信がある」と答えた人の約8割に多くの磨き残しがあったそうです。丁寧にブラッシングしているつもりでも、磨き残しは出てしまうものなのです。またあるヨーロッパの研究では、ブラッシング指導を受けたことがない方は口腔内の65~75%の部位にプラークが付着しているという報告もあります。ブラッシング指導を受けることがいかに重要か、お分かりいただけるデータだと思います。
自分の歯並びやお口の状態を把握し、癖のない歯磨きを習得するために行うのがブラッシング指導です。「毎日磨いているから大丈夫」「自分には必要ない」と思われる方もいらっしゃると思いますが、歯周病治療の基本はプラークコントロールであり、ご自身でプラークコントロールを身に付けるにはブラッシング指導が欠かせません。
歯周病治療において、患者様ご自身によるプラークコントロールが術後に大きく関係するため、ブラッシング指導の成果が術後の状態を左右するといっても過言ではないのです。
ブラッシング指導の流れを知りましょう
以下では、東京国際クリニック/歯科がご提供するブラッシング指導の流れをご紹介します。
1 ブラッシングの癖を把握します
普段どのようなブラッシングをしているのかを把握するために、実際にクリニックで歯を磨いていただきます。磨き残しが一目で分かるよう、染め出し液を使用して磨き残しがあった部位を記録し、磨き残しの割合を数値化します。
2 模型を使って実践する
歯の模型を使いながら、歯ブラシの持ち方や力の入れ方、磨き方などを確認していきます。合わせて、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方も確認します。
3 口腔内で実践する
歯科衛生士が患者様のお口に歯ブラシを入れ、正しいブラシ当て方や角度、力の入れ具合などをお口の中で実践します。また、歯ブラシでは届かない歯と歯の間を磨けるようにすることがとても大切なため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの清掃補助用具の使い方や動かし方も実践し、その感覚を把握していただきます。
4 実践を繰り返す
正しいブラッシングを覚えていただくために、ご自身で数回にわたって実践していただきます。その都度染め出し液を使用し、磨き残しが出る部位を確認していきます。これによって磨き残しが出やすい部位が分かるので、ご自身のブラッシングの癖を把握した上で「苦手な部位」をなくしていきます。
当院では、磨き残しの割合が20%を切るまで歯科衛生士がしっかりと指導いたします。正しいブラッシングの習得はご自身でできる唯一の「治療」であり、再発防止につなげるためにできる唯一の「予防法」です。正しいブラッシングを確立できたら、PERIOD.(ペリオド)による非外科歯周病治療を行っていきます。
正しいブラッシングで歯周病を改善しましょう
たった1分や2分のブラッシングでプラーク(歯垢)を落とすことはできませんが、ただやみくもに時間をかけても綺麗になるわけではありません。重要なのは、丁寧に、正しいブラッシングを繰り返すこと。歯磨きの技術を補うために、電動歯ブラシや音波式歯ブラシを使うというのも選択肢の一つと言えるでしょう。
私たち東京国際クリニック/歯科では、軽度から重度までさまざまな症状を改善するための「科学的根拠に基づいた歯周病治療」をご提供しています。ブラッシング指導は、歯周病治療の一つです。私たちと一緒に正しいブラッシングの習得に努め、トラブルとは無縁の日常を送りましょう。
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監修者情報
公開日:2017年2月23日
更新日:2024年1月22日
清水智幸(しみずともゆき)
東京国際クリニック/歯科 院長
歯学博士。日本歯科大学卒業後、近代歯周病学の生みの親であるスウェーデン王立イエテボリ大学ヤン・リンデ名誉教授と日本における歯周病学の第一人者 奥羽大歯学部歯周病科 岡本浩教授に師事し、ヨーロッパで確立された世界基準の歯周病治療の実践と予防歯科の普及に努める。歯周病治療・歯周外科の症例数は10,000症例以上。歯周病治療以外にも、インプラントに生じるトラブル(インプラント周囲炎治療)に取り組み、世界シェアNo.1のインプラントメーカー ストローマン社が開催するセミナーの講師を務めるなど、歯科医師の育成にも力を入れている。
・日本歯周病学会 認定医
・日本臨床歯周病学会 認定医
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