歯周病の症状と進行
歯周病の症状診断
BLOOD & PUS
SYMPTOMS
歯茎から血・膿が出る
歯周病の代表的な症状として、
歯茎から血・膿が出るというものが
あります。
一方で、歯茎から血・膿が
出ていても、歯周病ではないケースも
あります。
血が出る場合(出血)と
膿が出る場合(排膿)に分けて、
詳しく解説していきましょう。
CASE
01
歯周病の代表的な症状
歯茎からの出血
歯周病の典型的な症状の一つが
歯茎からの出血です。
歯周病に感染すると、ブラッシングをしたと
きや食事をしたとき、また何もしていなくて
も歯茎から血が出ることがあります。
歯茎から出血する症例
健康な状態
歯茎から出血した状態
なぜ、歯周病にかかると
歯茎から血が出るのか?
健康な状態の歯茎はブラッシングなどで
出血することはありません。
歯周病にかかると、歯茎に炎症が起きます。
歯茎には多数の毛細血管
が通っているため、
そこに炎症が起きていると、
ブラッシングや食事などの刺激が
加わることで出血してしまうのです。
出血する部位
歯周病にかかって歯茎が炎症を起こすと、まず歯茎の縁(境目)から出血が見られるようになります(軽度歯周炎)。
進行すると、歯茎の内側(歯周ポケットの奥)からも出血するようになります(重度歯周炎)。
歯茎の炎症が進み自然に出血している状態
歯周病以外で
歯茎から血が出る原因
歯茎からの出血がある場合、第一に歯周病が
疑われますが、その他にも考えられる
原因が
いくつかあります。
- 外傷
(強すぎる
ブラッシングなど) -
歯周病による出血は、「歯周病菌によって歯茎が炎症を起こす → 歯茎から血が出る」というメカニズムですが、外傷による出血の場合、当然ですが歯茎に炎症はありません。あるのは、擦り傷や切り傷です。たとえば、力を入れてゴシゴシと歯を磨く癖がある方は、歯茎が傷付いて出血する場合があります。「力を入れないと磨いた気がしない」という方も少なくありませんが、力の入れすぎは禁物。ブラッシングの目的は歯垢を除去することであり、力加減ではなく、歯垢を確実の取り除けているかどうかが最も重要なのです。
なお、力を入れすぎたブラッシングは「歯肉退縮」を引き起こす原因にもなります。歯肉退縮を起こすと歯の象牙質が露出してしまうので、見た目を損なうのはもちろん、そこが虫歯になりやすくなってしまいます。「歯を磨く」ということは強く磨くということではありません。強すぎるブラッシングは出血以外にも歯肉退縮を起こす原因にもなるため、ブラッシングは適度な力で行うことが大切です。
- 抗凝固剤
-
心筋梗塞や脳梗塞などの病気で抗凝固剤を服用している方は、歯周病でなくても歯茎から血が出ることがあります。抗凝固剤は血液を固まりにくくする働きがあるので、当然、口腔内も出血しやすい状態(出血が止まりにくい状態)になります。
- 全身疾患の既往
-
あまり多い例ではありませんが、糖尿病や白血病、血友病や血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血などを患っている方は、歯周病でなくても歯茎から出血する場合があります。
CASE
02
歯周病の代表的な症状
歯茎からの膿
歯周病の代表的な症状として、出血の
ほかに「歯茎からの膿」があります。
通常、歯周病に感染すると歯茎が
炎症を起こし、まず歯茎から出血します。
歯周病が進行していくと
歯茎から膿が出るようになります。
なぜ、歯周病にかかると
歯茎から膿が出るのか?
なぜ、歯周病にかかると歯茎から膿が出るのか?
歯周病に感染すると、私たちの体のなかの免疫細胞(白血球)が細菌(歯周病菌)と戦います。この戦いにより、白血球や歯周病菌の死骸が膿となって排出されます。
つまり、膿が出るということは、現在進行形で白血球と歯周病菌との戦いが繰り広げられているということで、今まさに組織破壊が進行している証なのです。
病気としての活性度が高く、歯周病の進行段階としては「中度」「重度」が疑われます。
膿が出る部位
通常は歯周ポケットの奥で膿が発生し、歯と歯茎の隙間から排膿(はいのう)します。右の症例は、歯周病が重度にまで進行して骨が溶かされているため、前歯が横に移動してしまっています。歯根が露出して排膿しているのが確認できます。
歯茎から排膿すると口臭がきつくなります。口腔内にプラークや歯石が溜まることでも口臭は発生しますが、歯茎から膿が出るような症状になると生ゴミのような歯周病特有の不快な臭いを発するようになります。「歯茎が臭い」と感じたら、歯周病が中度・重度にまで進行していると考えたほうがいいでしょう。
重度歯周病
歯根が露出し、膿が出ている状態
歯周病以外で
歯茎から膿が出る原因
歯根の先端に溜まった膿が行き場を失い排膿をおこしている状態
歯周病以外で歯茎から膿が出る原因
歯周病にかかっていなくても歯茎から膿が出る場合があります。その代表的な原因が、「根尖病巣(こんせんびょうそう)」です。根尖病巣は、歯根の先端に膿が溜まる病気。むし歯が進行して神経が死んでしまうと発症しますし、過去に神経を抜いた歯が細菌感染することでも起こります。根尖病巣は、歯の根の先端に“膿の袋”ができるのが特徴で、その付近の歯茎がぷくっと膨らむことがあります。歯茎の内部で行き場所を失った膿は、この膨らんだ箇所の歯茎に穴を開けて排膿されるのが一般的ですが、歯周病と同様に、歯と歯茎の隙間から排膿する場合もあります。その他、歯肉膿瘍(しにくのうよう)や、智歯周囲炎(ちししゅういえん)によって歯茎から膿が出る場合もあります。
あなたは大丈夫?
歯茎の出血・膿から
見る歯周病チェック
歯磨き・フロスを
するたび血が出る
歯磨き・フロスをするたびに血が出る
歯周病の可能性があります。歯周ポケットにプラークが溜まると歯茎は炎症を起こし、磨けていない部位から「出血」という形で症状が出ます。歯周病の早期の段階であれば、ブラッシングの方法やフロスなどツールの使い方を見直すことで、元の健康な状態に戻すことができ、出血もおさまります。また、一方で外傷による出血もあります。普段からブラッシング圧が強かったり、フロスを歯茎の奥まで通す癖のある方は、歯と歯茎を結合しているバリアを剥がしてしまっている可能性があります。このバリアは、一度剥がれてしまうと、再び結合するまでに1週間ほど時間がかかります。バリアが破壊されていると組織として弱いので、出血しやすくなるのです。ブラッシングやフロスの癖を改善しても出血が続く場合は、歯周病を疑ったほうが良いでしょう。
何もしていなくても
常に血が滲んでいる
何もしていなくても常に血が滲んでいる
歯周病が、かなり進行しているおそれがあります。ブラッシングなどをしていなくても、常に血が滲んでいることを「自然出血」と言います。自然出血があるのは、かなり歯茎の炎症が強い証拠であり、歯周病が重度にまで進行しているおそれがあります。
想定される歯周病の進行程度
最先端の歯周病治療
歯周病にかかっているか調べましょう
最善の治療は
正確な診査・診断から
歯周病もむし歯も、口臭もまとめてチェック!
総合的なお口の健康診断「オーラルチェック」を受けてみませんか?
当院のオーラルチェックは、歯周ポケットの深さで歯周病の進行度合をチェックし、さらに炎症が起きているかどうか、出血の有無を調べるなど歯周病診断の精度が違います。多角的かつ高度な検査によって、どんなステージの歯周病も正確に診断します。
費用:10,000円 ※所要時間:約60分
Q&A
よくあるご質問
歯茎から血が出たら、必ず歯周病にかかっているのですか?
歯周病以外が原因の可能性もあります。歯茎からの出血の原因としてもっとも多いのは歯周病ですが、他にも原因は考えられます。多数の毛細血管が走っている歯茎は出血しやすい部位です。そのため、間違ったブラッシングによって出血するケースもあります。硬い歯ブラシで磨いたり、強い力で磨いたりすると歯茎が傷付いて出血してしまうのです。ただし、この場合の出血は若干血がにじむ程度で、すぐに収まります。出血が続く場合は、歯周病を疑ったほうがいいでしょう。また、ブラッシングの圧力が弱くても出血する場合は、歯周病の可能性があります。
不適合な補綴物があると歯茎から血が出やすくなりますか?
いいえ、補綴物だけが出血の原因になることはありません。不適合な補綴物(被せ物・詰め物)があるだけで、歯茎から血が出ることはありません。
ただし、不適合な補綴物があると歯周病にかかりやすく、その結果、歯茎からの出血が見られることは多々あります。たとえば、被せ物が歯に合っておらず、歯茎との間に隙間(段差)ができている場合、そこに歯垢が溜まりやすいので歯周病に感染しやすくなります。なお、不適合な補綴物があっても、歯茎との間の隙間(段差)が広ければ歯周病のリスクにはなりません。隙間(段差)が広ければ、逆にブラッシングはしやすくなるので、歯垢も溜まりにくいのです。
ちなみに、不適合な補綴物は「プラーク リテンション ファクター(歯垢の付着を助長する因子)」の一つだとされています。その他、不正歯列や歯石もプラーク リテンション ファクターに該当します。不正歯列だと歯磨きがしにくい=歯垢が残りやすいからです。歯石はそれ自体に毒性はありませんが、表面がザラザラしており、その上に歯垢が付着しやすいからです。
歯周病を予防・治療するには、プラーク リテンション ファクターを除去することが重要になってきます。
妊娠したら歯茎から血が出るようになった・・・歯周病ですか?
はい、歯周病の可能性があります。妊娠して歯茎から血が出るようになったという方は、歯周病の一種である「妊娠性歯周炎」が疑われます。妊娠性歯周炎は、主に女性ホルモンのバランスが崩れることで起こる、妊婦さん特有の歯周病。歯周病菌のなかには女性ホルモンを好む歯周病菌がおり、妊娠すると女性ホルモンの分泌が増えるため、それらの歯周病菌が繁殖しやすくなってしまうのです。
症状としては、歯茎の腫れや出血が見られるようになります。こういった症状に気付いた妊婦さんは、必ず歯科医院を受診してください。というのも、妊娠性歯周炎にかかっている妊婦さんは、そうでない妊婦さんに比べて、早産のリスクや低出生体重児が生まれるリスクが高まることが明らかになっているからです。
タバコを吸う人は歯茎から血が出やすいですか?
いいえ、違います。喫煙が原因で歯茎から出血することはありません。タバコを吸う人は末梢血管が収縮して血流が悪くなるので、むしろ出血しにくくなります。一方で、タバコを吸う人は歯周病にかかりやすいという事実はあります。
喫煙をすると白血球が減少するため、歯周病に感染しやすくなります。歯周病にかかったら、歯茎から出血するようになるのが通常です。しかし、喫煙者は末梢血管が収縮しているため、歯周病にかかっていても出血という症状が見られないケースが多々あります(ニコチンの「マスキング効果」)。そうなると、「出血がない」 → 「歯茎の炎症はない」 → 「歯周病ではない」というように、偽陰性(本来は陽性であるのに陰性と誤診されること)につながりやすくなります。つまり、本来なら出血しておかしくない程度まで歯周病が進行しているのに、喫煙者は血が出にくいため、本人もドクターも見過ごしてしまうケースがあるということです。
また、一般的には歯周ポケットが深くなるほど、悪質な歯周病菌が多くなりますが、喫煙者の場合、浅い歯周ポケットにも、重篤な歯周病患者に見られるような悪質な歯周病菌が多く存在することが報告されています。これは、タバコのニコチンに含まれる有害物質によって免疫のメカニズムが壊れ、白血球が機能障害を起こすからです。
歯茎から血が出ているときは、歯磨きを控えたほうがいいですか?
いいえ、歯磨きを控えるのは逆効果です。歯茎から血が出ているときは、「歯磨きをしたらもっと血が出そう」「刺激を与えると治りが悪くなりそう」という気持ちから、多くの方はブラッシングを控えがちになります。しかし、この判断は正しくありません。歯茎から血が出ているので、歯周病に罹患している可能性があります。歯周病にかかっているとしたら、ブラッシングを控えると逆に進行してしまいます。
歯茎から血が出ているときは歯磨きの力を弱めても構いませんが、歯垢を溜めないようにすることが大切です。ブラッシングの目的は、歯周病の原因である歯垢を除去すること。適度な力で、歯と歯茎の境目を意識して磨くようにしましょう。加えて、フロスや糸ようじ、歯間ブラシも使ったほうが効果的です。痛みが強く、ご自身でブラッシングができないほど症状が進行している場合は、すぐに歯科医院で診てもらいましょう。
ブラッシングのときに出血したり、しなかったりするのですが、なぜですか?
歯周病に感染して歯茎に炎症が起きていると、ブラッシングのときや食事のときに歯茎から出血しやすくなります。ただし、出血の程度は、炎症の状態やその日の健康状態などによって変わってきます。歯茎から血が出ない日が続いたとしても歯周病が治ったわけではないので、出血が見られたのであれば歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
歯茎から血が出ている場合、血を出し切ったほうがいいですか?
いいえ、自分で血を出すのはNGです。歯茎から血が出ていると、「血を出し切ったほうが早く治る」と考え、指や舌で押したりして血を出し切ろうとする方もいらっしゃるようですが、これは大きな間違いです。歯周病で歯茎から出血しているのだとしたら、血を出し切ろうとしても何の解決にもなりません。炎症が治まらないどころか逆に悪化させるリスクがあるので要注意です。適切な歯周病治療を受ければ、歯茎の炎症は治まり、出血もなくなります。
歯茎から膿が出ている場合、膿を出し切ったほうがいいですか?
いいえ、自分で膿を出すのはNGです。「歯茎の膿を出し切れば、もう出なくなる」と考えて、自分で歯茎を押して膿を出す人もいらっしゃるようですが、これは大きな間違いです。歯周病で歯茎から膿が出ているのだとしたら、膿を出し切ろうとしても何の解決にもなりません。膿の原因は、歯周病以外の要因も考えられます。膿の原因を適切に見極め、症状に応じた治療を受けることが大切です。
その他の歯周病症状
歯周病の代表的な症状に一つでも当てはまる場合はお早めにご来院下さい。
歯周病治療PERIOD.は、
患者さまに負担の少ない治療法で
歯周病を完治へと導きます。
歯茎から血・膿が出る方は
歯周病の進行が疑われます。
PERIOD.で健康な歯茎を取り戻しましょう。